4−2−7 稲穂断層

地表の地質露頭状況が悪く地盤ボーリング資料にも極めて乏しい地区のため,反射法地震探査による地下断面を検討材料となる.しかし,浅層反射法地震探査豊田測線(R5)においてリニアメント位置における反射面の傾動等の変位,断層は認められなかった.地質断層として稲穂断層が存在することを積極的に主張する科学的証拠は,現時点では存在しない.

断層変位地形の可能性があるものは,音更町豊田付近に見られる東側が高い微高地がある.ただし比較的明瞭な西側リニアメントはNa−t3,Na−t6の段丘地形の境界となっており,変位基準としては不的確である.東側リニアメントについては,現地調査の結果リニアメントを夾んで比高変化は認められず,走向の振れも顕著なことから,開析された旧河道と考えられる.現時点では,稲穂断層を認定する科学的根拠は指摘できない.