4−2−3 光地園断層

光地園断層は,大局的な構造としては,地質断層として新第三系と古第三系を境する広尾断層に一致するとみなせる.広尾断層はすくなくとも中札内町上札内付近を北端,広尾町の市街地付近を南端(ただし,その南東延長の海域まで追跡できる可能性は否定できない)とし,NW−SE方向の走向を持つ,東落ちの正断層である.活断層研究会(1991)により”光地園断層”された区間の長さは22kmである.しかし,”光地園断層”の北半部の位置する大樹町光地園では,平成13年度調査における地表踏査,反射法地震探査では第四紀断層としての光地園断層の活動を確実に示す根拠は確認されなかった.逆向き低崖などの新期の断層変位を示す可能性がある地形の分布は広尾町紋別以南,広尾町楽古以北に限られる.この区間のみについての長さは10kmとなる.トレンチで確認された,活断層としての”光地園断層”のトレースがどこまで延長されるのかを早急に確認する必要がある.

なお,広尾町上野塚のトレンチ地点では,ボーリング調査から推定された断層位置は,新第三系中にあった.微視的には,活断層としての”光地園断層”は,必ずしも広尾断層のスリップ面を使っていない可能性がある.

断層変位地形は既存研究では,大樹町光地園を北端,広尾町楽古〜広尾町市街地を南端とすると考えられていた.しかし,現時点では確実に変位地形と考えられるのは広尾町上野塚のトレンチ地点のみである.それ以外の地点では,広尾町紋別,広尾町上野塚,広尾町楽古に,東上がり比高2m程度の不連続な逆向き低崖が散在するが,これらが断層変位を示すかどうかは現時点では不明である.今後これらの”崖地形”について構造性のものであるかどうかの確認が不可欠である