4−2−2 途別川断層

途別川断層は,地質断層としては,幕別町札内の地下にその北端が求められる.池田層,芽登凝灰岩,渋山層の急立帯は,途別川を夾んで西側の段丘面上と東側の幕別丘陵西端の直線的な崖にまたがってNNE−SSW方向に延び,帯広市愛国を通過し,少なくとも幕別町途別まで追跡できる.この地域では渋山層は西へ10度程度,芽登凝灰岩も同程度傾動している.そこから南では地質露頭では確認できていないが,越後ほか(1999)の反射法地震探査結果より帯広空港北方までは連続しているとみなせる.地質断層(撓曲)としての長さは18kmに達する.それ以南では,断層による地形変位の根拠は乏しい.なお平成13年度調査においては幕別町途別〜帯広市以平にかけてのMa−t3面t4面の境界に撓曲崖を想定したが,この地域の高位面はいずれも西方にゆるやかに傾斜しており,越後ほか(2000)による伏在断層はより西方に位置する.越後ほか(2000)の伏在断層の位置には断層変位を示す地形学的根拠は認められない.幕別町途別〜帯広市以平にかけて平成13年度調査で設定した撓曲崖については,段丘崖と見なすのが自然であろう.