(3)上野塚地区

広尾町上野塚地区におけるピット調査ヶ所を図3−1−5−6(広尾町上野塚),写真・スケッチを図3−1−5−7図3−1−5−8図3−1−5−9図3−1−5−10(上野塚)に示した。

調査結果からピットおよびトレンチに出現する地層をA1層、A2層、A3層、A4層、A5層、B1層、B2層、B3層、C層、D1層、D2層、D3層、D4層、D5層、E1層、E2層、E3層に区分した。

1)ピット1

<地層記載>

ピット1に出現する地層はA1層、A5層、B1層、B3層、D1層、D2層、D3層、D4層およびE1層である。

A1層は層厚30〜40cmの黒色腐植土で、耕作による撹乱を受けている。A5層は、耕作土の直下に断続的見られる黒色〜暗褐色の腐植層である。

B1層は淡褐色〜黄褐色の細礫混じりローム層である。含まれる細礫はほとんど無層理で、ローム層中に点在する。B3層も無層理の淡褐色ローム層で、上記B1層とともにピットの北西側もしくは西側でやや厚くなる。

D1層は弱い土壌化を示す暗褐色〜褐色のローム層であり、D2層は褐色のローム層である。D3層は橙褐色のローム層で極細粒砂が含まれるが、ピット内では無層理・塊状の地層となっている。D4層はややローム質で細粒の火山灰を含む橙色シルト層となっている。

ピットの最下部には砂礫層(E1層)が確認された。この砂礫層はマトリックスがローム質シルトで、礫径は最大で20cmの円〜亜円礫で構成されるが、確認された層厚は10cm程度で詳細は不明である。

2)ピット2

<地層記載>

ピット2に出現する地層はA1層、A2層、A4層、A5層、B1層、B2層、B3層およびC層である。

A1層は、黒色の砂混じり土壌層で層厚40cm前後の耕作土であるが、ピットの北東側では凹地を埋めるように堆積している。A2層は黒色〜黒褐色の腐植層である。A4層は弱い土壌化を示す腐植まじりのローム層で細礫が点在する。A5層は黒色〜黒褐色の腐植層で下限は植物根の影響が考えられる凹凸をもっている。

B1層は細礫混じりのローム層で、ほとんどの細礫は無層理でローム層中に点在するが、北側法面では不明瞭ながら細礫のつくるラミナも観察された。B2層は極めて弱い土壌化を受けた暗褐色のローム層でわずかに細礫の作るラミナが観察される。B3層は無層理の褐色ローム層で、細礫や砂などをほとんど含まない。

C層はこのピットで観察される最下位の地層で、細礫や中〜細粒砂の作るラミナもしくは薄層が不規則な互層状となって堆積している。上記地層に見られるラミナや地層境界はほとんど水平となっている。