4−2−2 今後の調査計画

主要起震断層と想定していた,中富良野ナマコ山断層は,断層上盤のforelimbにあたり,断層は地表に達していないブラインドスラストと考えられる.ブラインドスラストの前縁にはgrowth strataがみられることから,活動的であると判断される.また,背後に存在する御料断層はバックスラストと考えられることから,ブラインドスラストの形態はwedge thrust(クサビ型スラスト)の様式をとっていると解釈できる.

ブラインドスラストの前縁のgrowth strataと合わせて考えると,バックスラストの活動と地層全体の褶曲によってナマコ山が隆起したと考えられることから,中富良野ナマコ山と御料断層の両方を評価する必要があると考える.

一方,中御料断層は,地形地質やボーリング調査の結果から,その存在が疑わしく,かつ,存在していたとしても地層の年代を特定できない限り,活動性評価をおこなうのは極めて困難と考える.

麓郷断層aは,反射法地震探査の断面を見る限り,撓曲変形の可能性があり,断層の存在を積極的に支持する材料はない.しかし,本地点ではSpfa−1を確認したことから,テフラを鍵層として変位を確認すれば良いと判断する.

今後の計画として,富良野断層帯は大きくみて盆地の東西両端にわかれることから,少なくとも東西両側の断層で個々に評価しておく必要がある.そこで平成15年度は盆地西側の中御料断層・御料断層・中富良野ナマコ山断層を,平成16年度は麓郷断層a,bを実施する計画を立てた.

具体的には,平成15年度においては,上記3断層を対象として,地形地質調査(精査),ピット調査を3地区で実施し,その検討から2地区においてボーリング調査・トレンチ調査を実施すべきと考える.