(3)主要使用機器

測定に使用する主な使用機器を表3−2−1に示す.また,個々の機器の特徴は以下のとおりである.

(1) 震源

P波反射法地震探査の震源として油圧インパクターを使用した.油圧インパクターは,ガス圧で加速されたピストンロッド(重量:200kg)がベースプレートを打撃することにより発震を行う重錘落下型震源である.油圧インパクターは,この重錘落下型装置を車載することにより移動性を高め,探査能率の向上を図ったものである.最大200kgの重錘を高さ約3mから落下させた場合に相当する発震能力をもつ.特徴として,

@ 浅層探査に必要な高周波成分に富んだ震源波形を発生する

A リバウンドを抑えることにより単純な震源波形を発生する

B 舗装道路上でも使用可能

C 移動が容易で探査速度が大きい

等が挙げられる.図3−2−4に油圧インパクターの外形を示す.

(2) 受震器

「3.2.2(1) 受震機材(受震器,アンプボックス,ケーブル等)の設置」で述べたように,地震計6個が直列に結線され(グルーピングされ),ひとつのアナログ信号を出力するものを使用した.

(3) 探鉱機

有線デジタルテレメトリー型の探鉱機で,アナログ増幅,A/D変換,垂直重合(スタック),相互相関処理,ノイズ除去などの処理を受震器近傍に設置したアンプボックス(RSU)内で行い,処理後の波形記録を観測本部内の探鉱機本体にデジタル転送する.なお,アンプボックス(RSU)1台は,最寄りの4受震器で観測した波形記録の処理を行った.

遠隔処理のため,非常に多大な受震点数(チャンネル数)の場合にも,受震器と探鉱機を結ぶケーブルは1本でよい.このことは,非テレメトリ型探鉱機の場合に必要なアナログケーブルを何本も平行に張ることを不要とし,電磁ノイズの影響を受けにくいものとしている.また,探鉱機は,アンプボックス(RSU)を管理する機能を有し,受震器やアンプボックスの接続状態,バッテリー残量などをリアルタイムで監視できるほか,波形処理機能も有しており,これを利用することにより収録記録の高度な品質管理を行った.