3−2−3 広域測定

1mGalコンターによるブーゲ異常値の分布図を図2−3−1に,NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のデータ[新エネルギー・産業技術総合開発機構(2000) 新エネルギー・産業技術総合開発機構重力測定値データファイル, 日本重力CD−ROM, 数値地質図P−2, 地質調査所]を加えた図を図2−3−2に示す.黒の細線は等重力線(1mGal間隔)を示し,黒線は市町村界を示している.点線は観測地域における活断層を示している.なお,コンター作成にあたり観測点が均一に分布するようにしたため,プロファイル測定の値は使用していない.

分布図は,NNE−SSW方向に伸びた盆地構造に非常に良く対応したものとなった.中央部の低重力地帯は十勝軽石流堆積物や河成堆積物に厚く覆われている部分に,東西の高重力地域はこの地域の基盤岩である空知−蝦夷帯や十勝溶結凝灰岩の分布域に非常に良く対応している.

一般に断層は高重力・低重力領域間のコンターが密なラインと対応するとされているが,今回の結果は東部の麓郷断層においてそれがはっきりとあらわれている.一方,西縁南部の中富良野ナマコ山断層帯や御料断層帯では,それほどコンターが密になっていない.ただし,西側の山岳地帯での観測点数が十分でない事が影響している可能性が高い.

NEDOのデータを加えることにより,盆地周辺部,とくに東側の状況がよりはっきりとしたものとなった.これにより,麓郷断層のコンターの密な部分は東側に続かず,この領域に集中して見られることがわかる.また,北西部の断層においてもコンターの密な部分やコンターの谷部分と断層とが対応していることがわかる.しかし,南西部の断層帯においては追加されるデータが少ないため,大きな変化はみられなかった.

NEDOのデータについては十分なチェックを行っていないため,一部観測値に観測機材ないしはブーゲ異常値算出方法に起因すると考えられる値のずれが存在する可能性があるが,大局的な傾向は変化しておらず,ここでの議論に影響は少ないと考えられる.