針葉樹:Picea (トウヒ属:エゾマツ或いはアカエゾマツ),Abies(モミ属:トドマツ),Pinus(マツ属),Tsuga(ツガ属),Larix(カラマツ属:グイマツ)
冷温帯広葉樹:Quercus(コナラ属),Ulmus(ニレ属),Juglans(クルミ属),Tilia(シナノキ属),Acer(カエデ属),Corylus(ハシバミ属)
その他の広葉樹:Betula (カバノキ属),Alnus(ハンノキ属)
湿原性低木:Ercaceae (ツツジ科),Myrica(ヤマモモ属:ヤチヤナギ)
草本類は次のとおりである.
Carduoideae(キク亜科),Artemisia(ヨモギ属),Thalictrum(カラマツソウ属),Sanguisorba(ワレモコウ属),Persicaria(タデ属),Lysichiton(ミズバショウ),Menyanthes(ミツガシワ),Valerianaceae(オミナエシ科),バラ科(Rosaceae),
Umbelliferae(セリ科),Gramineae(イネ科),Cyperaceae(カヤツリグサ科),
シダ類とコケ類は次のとおりである.
Monolete(単溝型:ウラボシ科,オシダ科を含む),Osmundaceae(ゼンマイ科),Lycopodiaceae(ヒカゲノカズラ科),Selaginela selaginoides(コケスギラン),Sphagnum(ミズゴケ属)
木本花粉の産出をもとに下位から1,2,3の三花粉帯に区分した.各花粉帯の花粉群の特徴は次のとおりである.
花粉帯1(深度22.05mと22.8m):Piceaが70%以上と最も高率で,Abies,Larix,Pinusを伴う.冷温帯広葉樹は検出されない.草本類は低率で,シダ類はLycopodiaceaeを除いて産出しない.木本類の全体に占める割合は86.6%と98.6%と高い.
花粉帯2(深度13.0mと18.8m):1帯に比べ,Piceaが42%以下に急減し,Abiesも減少する.かわってLarixが24〜33%に増加する.下位でEricaceaeとMyricaが高率であるが,上位ではCyperaceae,Monolete,Lycopodium,Sphagnumなどの草本類,シダ,コケ類が増加する.木本類の全体に占める割合は下位で98.6%であるが上位では51.3%に低下する.
花粉帯3(深度4.0mと9.5m): 1,2帯で優勢であったLarixは検出されず,Piceaも減少する.かわって,Abiesと冷温帯広葉樹のQuercus,JuglansとAlnusが高率に産出する.草本類はそれまでに比べて種類が増え,特にLysichitonとOsmundaceaeが増加する.木本類の全体に占める割合は63%,70%と高い.