3−1−4 まとめ

富良野断層帯の空中写真判読および地表踏査の結果を以下にまとめる.

1)地形面は上位から,T1面,T2面,T3面,T4面,T5面,沖積錐,沖積低地の7つに区分した.

2)断層リニアメントのトレースはほぼ従来の見解と同じである.しかし,中御料断層についてはないと考える.

3)地表踏査の結果,富良野盆地西縁の境界断層の露頭を確認した.T1面堆積物と蝦夷層群が断層関係で接する.

4)十五線川にて2万年前を示す十五線川層が蝦夷層群に断層関係で挟みこまれている関係を確認した.関係から2万年前の前後で繰り返し活動している可能性を指摘した.

5)麓郷断層bの北方延長,山部において西傾斜の十勝火砕流堆積物の露頭を確認した.

6)テフラ分析から,本地域ではじめて,Aso−4(中富良野町日進)とSpfa−1(富良野市東鳥沼R−1コア)を確認した.

7) 富良野市中御料のT4面堆積物は,14C年代測定やテフラ分析から,年代幅のある厚い扇状地堆積物の複合体からなることがわかった.御料断層との関連が考えられる.

8)富良野断層帯の平均変位速度は,従来の研究とほぼ同等かそれより大きい値が得られた.これは,褶曲による変形効果も加算しているためと思われる.純粋に断層のみの活動度は,これを下回る可能性が高いと考える.