4−2−10 光地園断層
光地園断層については,光地園付近における,活断層研究会(1980;1991),東郷(1982)によるリニアメントは活断層ではない可能性が,地形・地質調査,および浅層反射法地震探査から明らかとなったHi−t1面の他の箇所でも,活断層によると考えられる地形変位は認められない.一方,広尾町開進以南では,広尾断層沿いに多数のリニアメントが存在し,局所的ながら断層崖に似た逆向き低崖も存在する.また,上野塚地区のボーリング結果は,累積的な断層変位により,礫層の厚さの違いと上面高度のずれが形成された可能性を示唆する.しかし,豊似川などの河川では,沖積段丘にもしばしば3〜5m前後の比高の段丘崖が形成され,その一部は,上に“断層崖状の崖”として挙げたものとも方向が一致する.また,紋別地区の反射法地震探査でも,伏在リニアメント付近に地層のずれや傾き,撓曲は認められなかった.広尾断層付近のリニアメントの多くも,組織地形の可能性が否定できない.これらの問題を明らかにするためには,上野塚地区でのピット調査,トレンチ調査により,変位地形とされた地形について,より詳細に極浅部の地下構造を検討する必要がある.