広尾町管内の重力基点は、国土地理院一等水準点8044、幕別町の重力基点は国土地理院一等水準点8165とし、基準重力値は、それぞれ帯広測候所内のJ33との往復測定から決定した。幕別町南三線沿いの測定は、日中、交通量が非常に多くまた道路拡幅工事中であったことから振動により測定値の標準偏差は全測線の中でやや大きく示したが、期間中のドリフト値は、−5〜22μGal/hourの範囲(平均約16μGal/hour)であった。各測点には、地球潮汐補正(Longman,1959)・機高補正・ドリフト補正を施し、各点の重力値を決定した。また、緯度補正・地形補正(西谷ほか,1988)・大気補正・フリーエァー補正及びブーゲー補正を施し、各点のブーゲー異常値を求めた。計算には測地基準系1980の実用式を使用し、ブーゲー補正、地形補正の密度は2.67g/cm3と仮定した。以上の補正後の重力値の一覧を表3−2−2−1、表3−2−2−2、表3−2−2−3、表3−2−2−4に示す。
各測線のブーゲー異常と地形(測定標高)断面を図3−2−2−4、図3−2−2−5、図3−2−2−6、図3−2−2−7に示す。広尾町紋別二十一線沿いおよび紋別二十線沿いの測線は、平行している測線で、Line1及びLine2ともに低地に向かうにしたがい地形なりにブーゲー異常も小さくなる。Line2は地形的には明瞭な撓曲構造をして示しているにもかかわらず、ブーゲー異常はほぼ直線的に変化しているのが特徴である。また、推定されている光地園断層の位置にはブーゲー異常の変化は見られない。
楽古十二線沿いの測線は、低地に向かうにしたがい地形なりにブーゲー異常も小さくなる。地形的には明瞭な撓曲構造をして示しており、撓曲構造周辺でブーゲー異常も傾きが異なるのが特徴である。これは推定されている光地園断層の位置にあたる。
幕別町南三線沿いの測線は、低地に向かうにしたがい地形なりにブーゲー異常は大きくなる。旧河道や旧堤防の地形を示しており、ブーゲー異常は傾きを変えながら変化しているのが特徴である。特にブーゲー異常の傾きが急な箇所が推定される旭−茂発谷断層の延長部にあたる。