(1) 表層速度分布
図3−2−1−8の表層速度分布図から、本測線の地表付近の速度分布は次のとおりである。
地表下20m以浅では測点No.100〜No.200付近を除いて、速度1,500m/s以下を示し、特に河川敷である測線東端の地表部には速度1,000m/s以下の低速度帯が分布する。
地表下20m以深では測点No.410以東を除いて、速度1,500m/s〜1,900m/sを示す。測点No.410以東では速度2,000m/s以上の高い値を示すが、これは反射記録断面の反射波の隆起部と一致する。
(2) 反射イベントの分布状況
図3−2−1−12の時間断面図から本測線の反射パターンは次のとおりである。
浅部から1.2秒付近まで強振幅で連続した明瞭な反射イベントが何枚も認められる。これらのイベントは測点No.380〜No.440付近にかけて急激に東へ向かって隆起している。また、全体的には非常に緩く西へ傾斜している傾向が見られ、特に測点No.0〜No.90付近では、反射イベントの西傾斜が顕著になる。
地表下20m以浅の反射イベントについては、探査仕様が極浅層を対象としていないため、検討は難しい。
(3) 反射断面の解釈
図3−2−1−24 浅層反射法地震探査解釈断面図を図3−2−1−24に示す.測点No.380〜No.440付近にかけて急激に東へ向かって隆起している(西傾斜の)反射イベントは、弾性波速度分布から池田層内での堆積面と考えられ、地層の変形を把握していると考えられる。
本測線の北部には旭断層の十勝川以北における南端部が位置し、丘陵内部の撓曲帯付近の池田層群最上部層は、著しい西傾斜を示している。
測点No.380〜No.440付近にみられる反射イベントは、十勝川南部にも旭断層の延長が存在することを示唆していると考えられる。
また測点No.0〜No.90付近の西傾斜する反射イベントは、岡(2000)の途別川断層の北部を捉えている可能性が高い。
2 千住測線
(1) 表層速度分布
図3−2−1−9の表層速度分布図から、本測線の地表付近の速度分布は次のとおりである。
地表下20m以浅ではR1測線と同様に速度1,500m/s以下を示す。
地表下20m以深では測点No.55付近を境として、西部では速度1,500m/s〜1,700m/s、東部では速度1,500m/s〜2,100m/sを示す。東部の高速度帯は反射記録断面の反射波の隆起部と一致する。
(2) 反射イベントの分布状況
図3−2−1−15の時間断面図から本測線の反射パターンは次のとおりである。
R1測線と同様に浅部から1秒付近まで何枚もの連続性の良い明瞭な反射イベントが認められる。これらのイベントは測点No.50〜No.90付近にかけて急激に東へ向かって隆起している。ただし、この急傾斜部では速度が急変しているために反射イベントの連続性は良くない。
地表下20m以浅の反射イベントについては、探査仕様が極浅層を対象としていないため、検討は難しい。
(3) 反射断面の解釈
浅層反射法地震探査解釈断面図を図3−2−1−24に示す.測点No.50〜No.90付近にかけて急激に東へ向かって隆起している(西傾斜の)反射イベントは、弾性波速度分布から池田層内での堆積面と考えられ、地層の変形を把握していると考えられる。
本測線の北部には旭断層の十勝川以北における南端部が位置し、丘陵内部の撓曲帯付近の池田層群最上部層は、著しい西傾斜を示している。
測点No.50〜No.90付近にみられる反射イベントは、十勝川南部にも旭断層の延長が存在することを示唆していると考えられる。
3 光地園測線
(1) 表層速度分布
図3−2−1−10の表層速度分布図から、本測線の地表付近の速度分布は次のとおりである。
地表下20m以浅では速度1,500m/s以下を示し、特に南西端を除き地表部には速度1,000m/s以下の低速度帯が分布する。
地表下20m以深では速度1,500m/s〜2,000m/sを示すが、測線中央部では速度1,500m/s〜1,800m/sと周囲に比べやや低い値を示す。
(2) 反射イベントの分布状況
図3−2−1−18の時間断面図から本測線の反射パターンは次のとおりである。
150msec〜400msecにかけて数枚の強振幅の反射イベントが見られる。これらのイベントはほぼ水平に連続しているが、測点No.35付近で不連続となり、その北西側では反射波の周波数が低くなっているのが特徴的である。
地表下20m以浅の反射イベントについては、探査仕様が極浅層を対象としていないため、検討は難しい。
(3) 反射断面の解釈
浅層反射法地震探査解釈断面図を図3−2−1−25に示す.測点No.35付近を境に反射イベントが不連続となっており、北東側は低周波の反射イベント、南西側は高周波の反射イベントとなっている。また、速度分布の違いから、異なる物性値の地層が接していることを示していると考えられる。No.35はこれまで言われている光地園断層のトレース位置とは一致しない。
4 紋別測線
(1) 表層速度分布
図3−2−1−11の表層速度分布図から、本測線の地表付近の速度分布は次のとおりである(前3測線と色表示が異なることに注意)。
地表下20m以浅では前3測線と同様に速度1,500m/s以下を示し、地表部は速度1,000m/s以下の低速度帯が分布する。
地表下20m以深では速度1,500m/s〜4,000m/sと深度が深くなるにつれて、急激に高くなる傾向がある。特に北西部には速度3,000m/s以上の高速度帯が分布する。
(2) 反射イベントの分布状況
図3−2−1−21の時間断面図から本測線の反射パターンは次のとおりである。
浅部から500msec付近までに連続性のある数枚の反射イベントが認められる。特に浅部のイベントは強い振幅で、地表と平行して南東に向かって緩く傾斜している。250msec以深では、反射イベントはやや不明瞭だが測点No.50付近から南東に向かって傾斜しているように見える。
また、測点No.10〜125の50msec〜200msecには振幅の強い反射面イベントが平行して2枚存在している。この反射面イベントは南東に向かって振幅が小さくなり、連続性も北西側ほど顕著ではない。
地表下20m以浅の反射イベントについては、探査仕様が極浅層を対象としていないため、検討は難しい。
(3) 反射断面の解釈
浅層反射法地震探査解釈断面図を図3−2−1−25に示す.測点No.50付近から南東に向かって傾斜しているように見える反射イベントの解釈は、地質情報がないため難しいが,礫層下面ないし新第三系,古第三系の風化部を見ている可能性は挙げられる。
また、測点No.10〜125の50msec〜200msecには振幅の強い反射面イベントの変化についても、地質情報がないため難しい。