もし,当別断層が長く隆起していたなら「当別川流域が隆起してひえあがる」はずであるが,過去10数万年間の河道範囲は,ほとんど現在と変わらない状況できたことが地形面の分布から明らかである.
石狩低地東縁断層帯と同様の断層システム,バックスラストを前縁に伴うブラインドスラストの構造で説明可能と考える.セグメントaとbの西傾斜の逆断層とは反対の向きの,東傾斜で当別断層との会合付近で水平に近くなる逆断層を想定する.セグメントa,bの下には,ブラインドスラストが存在し,スラストの先端がクサビ状に入りこむため,前縁の地層はめくりあがり,当別向斜を形成したと考えられる.曲げ褶曲が働くため地層の層理には層面すべりが生じる.この層面すべりに起因した逆断層がセグメントaに相当する.セグメントbもセグメントaのバリエーションと見ることが出来る.違いは,背斜構造(中小屋半ドーム構造)を切っているという状態である.この構造は,庄内平野東縁断層帯の構造に類似する.
同様なシステムでセグメントdも説明可能である.撓曲地形の前縁の低地にはやや膨らんでおり,曲げ褶曲が働いている可能性がある.これは,バックスラストの初期段階をみている可能性がある.