(8)堆積環境
珪藻化石分析から,本地区の沖積層のほとんどは淡水域で堆積したものと推定される.特に,試料SS25−071の珪藻化石群集は湖沼の存在を示唆している.試料SS25−120からSS25−210の間では,現地性でかつ海成環境を指示する海生底生種が記録されたことから,その区間の堆積時に本地点は,海進の影響によって沿岸域に位置していたと考えられる.より具体的には,明らかな淡水生種も比較的高い産出頻度で伴われることや,明らかな汽水成の指標種を欠くことから,海水の流入が時折ある潟湖のような環境が一例として想定される.試料が砂質であることから,washover堆積物である可能性が高い.同様の環境は,セクション最下部の試料SS25−530からSS25−540の間の堆積期間にも推定できる.
図3−2−2−3 試料分析結果解釈図(新篠津村武田)