(2)当別町青山中央神社地区

<地形測量>

当地区は,当別川の中位段丘面に位置している.本業務ではこの段丘面上でテストピット2箇所を実施している.図3−1−2−2−1にテストピット作業と平行して実施した平板測量結果を示す.高さの基準は,青山中央神社にある地籍図根点を用いた.(原寸の平面図は,巻末付図を参照されたい)

ピット掘削位置の選定に先だって,リニアメントと直行する方向で,縦断測量を行っている.その結果,測点110付近から西側に向かって約0.5〜1.2m高くなっていることを確認した.この縦断測量結果を基に,面の標高が明らかに異なる箇所(SP90,130付近)でテストピットの掘削を行った.

写真3−1−2−2−1 調査地区全景(青山中央神社地区)

図3−1−2−2−1 調査箇所近傍地形測量結果平面図(青山中央神社)(1:800)

<テストピット掘削>

テストピットは,地質断層および現地測量から推定されるリニアメントを挟んで実施した.掘削の結果砂礫上面に約1.2mの標高差を確認したものの,基盤岩の泥岩と固結した砂との標高差は認められなかった.参考資料として,リニアメントをまたぐ形でテストピット(P3)を掘削し,断層露頭を確認した.

○青山中央神社 P1

測線のSP86−94付近,測線から約6mR側(北西側)で掘削した.

出現した土相は,上位から

・表土

・細粒砂〜シルト,粘土〜シルト(灰白色)

・礫混じり砂(下位を削り込む)・・・T層

・細〜中粒砂(葉理発達),有機質シルト・・・U層

・砂礫(マトリックスはシルト質)・・・V層

・半固結〜固結細粒砂岩(円礫点在)・・・W層

であった.

○青山中央神社 P2

測線のSP128−134付近,測線から約4mL側(南東側)で掘削した.

出現した土相は,上位から

・表土,腐植土

・細粒砂〜シルト,粘土〜シルト(灰白色)・・・T層

・細〜中粒砂(葉理発達,細礫点在)・・・U層

・砂礫(マトリックスはシルト〜細粒砂,木片多含)・・・V層

・塊状泥岩(望来層)・・・W層

であった.

○青山中央神社 P3(参考)

測線のSP130−136付近,測線から約2mR側(北西側)で掘削した.

出現した土相は,上位から

・表土,腐植土

・細粒砂〜シルト(灰白色)・・・T層

・シルト,有機質シルト

・細〜中粒砂(葉理発達,細礫点在)・・・U層

・砂礫(マトリックスはシルト〜細粒砂,木片含)・・・V層

であった.V層およびU層には断層(N45°W,40°W)による変形〜変位構造が残されていた.この断層に伴う垂直変位量はV層の上面で1.3m,U層の上面で0.6mであった.

写真3−1−2−2−2 青山中央神社 P3 全景

写真3−1−2−2−3 青山中央神社 P3 有機質シルトの変形構造

図3−1−2−2−2 テストピットスケッチ図(青山中央神社 P1)(1:50)

図3−1−2−2−3 テストピットスケッチ図(青山中央神社 P2)(1:50)

図3−1−2−2−4 テストピット解釈図(青山中央神社 P1)(1:50)

図3−1−2−2−5 テストピット解釈図(青山中央神社 P2)(1:50)

図3−1−2−2−6 テストピットスケッチ図(青山中央神社 P3:参考資料)(1:50)

図3−1−2−2−7 テストピット解釈図(青山中央神社 P3:参考資料)(1:50)

<試料採取,分析> テストピットから,各堆積ユニットの堆積時期を効率的に測定あるいは推定し得る位置から年代測定可能な試料を採取した.分析は,β線計数法を基本としたが試料の量が不足する等,β線計数法では不可能あるいは困難と判断された試料の分析にあたっては,同じβ線計数法でも長時間測定を行う,あるいはAMS法を用いて行った.

表3−1−2−2−1 14C年代測定結果一覧(青山中央神社ピット)

測定の結果,T層基底部の年代値(AY090−15,木片)が11280±90yBP,U層の年代値(AY125−24有機質シルト,26木片)が11550±110yBp〜11630±50yBP,V層の年代値(AY125−25木片,29木片)が14130±100yBp〜13780±120yBPとの結果を得た.