当地区は,当別川の低位段丘面に位置している.本業務ではこの段丘面上でテストピット2箇所を実施している.図3−1−2−1−1にテストピット作業と平行して実施した平板測量結果を示す.なお,高さの基準は,近傍に適当な独立標高点が無かったため,次節青山中央神社にある地籍図根点を用いた.
ピット掘削位置の選定に先だって,リニアメントと直行する方向で,縦断測量を行っている.その結果,測点80付近を境にして西側が約0.7m高い微高地を形成していることが明らかとなった.この縦断測量結果を基に,予察(バックホウを用いた簡易な掘削)を行い,伏在する砂礫の標高が明らかに異なる箇所(SP70,120付近)でテストピットの掘削を行った.(予察による礫層の伏在状況は,図3−3−1−7で示す断面図に示した)
写真3−1−2−1−1 調査地区全景(一番川南部)
図3−1−2−1−1 調査箇所近傍地形測量結果平面図(一番川南部)(1:800)
<テストピット掘削>
テストピット掘削に使用した機器材は下表の通りである.
表3−1−2−1−1 テストピット,トレンチ使用機械一覧
テストピットは,上記予察結果を基に,既往露頭および空中写真から判読されるリニアメントを挟んで実施した.壁面観察,各土相の伏在標高を把握する水準測量の結果,ピット基底付近に出現する砂礫層上面に約1.2mの標高差を確認した.
○一番川南部 P1
測線上のSP66−70付近で掘削した.
出現した土相は,上位から
・表土,耕作土
・シルト,砂質シルト〜シルト質砂(根痕が見られる)
・粘土〜シルト(乳白色,一部に根痕が見られる)・・・Ta層
・中〜粗粒砂(不淘汰,正級化する 葉理発達 植物片,軟質礫点在)・・・Tb層
・砂礫(細〜中礫,マトリックスは中〜粗粒砂)・・・Tc層
であった.
○一番川南部 P2
測線上のSP122.5−128付近で掘削した.
出現した土相は,上位から
・表土,耕作土
・シルト
・シルト質砂(逆級化,中粒砂をレンズ状に挟む)
・粘土〜シルト薄層(乳白色,一部に根痕が見られる)・・・Ta層
・中〜粗粒砂(不淘汰,正級化する 葉理発達 礫点在)・・・Tb層
・砂礫(細〜中礫,マトリックスは中〜粗粒砂)・・・Tc層
であった.
図3−1−2−1−2 テストピットスケッチ図(一番川南部 P1)(1:50)
図3−1−2−1−3 テストピットスケッチ図(一番川南部 P2)(1:50)
図3−1−2−1−4 テストピット解釈図(一番川南部 P1)(1:50)
図3−1−2−1−5 テストピット解釈図(一番川南部 P2)(1:50)
<試料採取,分析>
テストピットから,各堆積ユニットの堆積時期を測定あるいは推定し得る位置から年代測定可能な試料を採取した.分析は,β線計数法を基本としたが試料の量が不足する等,β線計数法では不可能あるいは困難と判断された試料の分析にあたっては,同じβ線計数法でも長時間測定を行う,あるいはAMS法を用いて行った.
表3−1−2−1−2 14C年代測定結果一覧(一番川南部ピット)
※IB095−23は,SP95で仮掘削を行った際,深度2.3mで採取した木片を分析に供したものである.
年代測定の結果,いずれも4400〜5830yBPと完新世中頃の値を示した.また,表層付近の年代値(IB070−13,120−07)が,より深い位置から採取した木片の年代値(IB095−23)より古い傾向がある.