3−1−1 地形地質調査(精査)

当別断層のセグメントは4つあり,防災上の観点からは,どれも満遍なく実施する必要がある.しかし,最終的に断層の活動性を解明するためのトレンチ調査では,調査する場所や土地条件に制限がつく.セグメントa(当別町青山地区)は,地形・地質ともに断層の位置を正確に押さえることが可能で,地形面の年代や平均変位速度も得られている.また,ピット調査により,約1万年前以降に活動した証拠が見つかった.したがって,最小の地形変位がみられる地点(青山中央神社)と変位が見られない地点(一番川南部)で比較をおこなうことで,最新活動期の特定が可能と判断した.

セグメントb(中小屋〜新篠津村地区)は,断層の存在が明らかになったものの,地形面堆積物からの年代情報が全く得られず,活動性は不明なままであった.平均変位速度は,C級と推定される.低地の完新統が厚く堆積しているところで,断層の動きをとらえる事を期待した.しかし,表層数mは確実に泥炭層であることが既存資料および調査の結果明らかになっていたので,地表踏査は実施しなかった.

セグメントdの江別市大麻―元野幌地区では,反射法地震探査によってGrowthする傾動構造が見つかった.同測線のボーリング調査により,約4万年前の地層を含む反射面も傾斜していることが明らかとなった.したがって,本セグメントは,少なくとも過去4万年前まで進行性の傾動運動をおこなっていると判断される.沖積堆積物に同様な傾動運動があれば,活動性を明らかにすることができると判断した.

なお,地表踏査によって採取した試料の分析は,14C年代測定を地球科学研究所に,花粉分析をアースサイエンスに,テフラ分析を京都フィッショントラックに,それぞれ委託した.それぞれの結果を,表3−1−0−1表3−1−0−2表3−1−0−3に示す.