3−4−3 VSP処理

PS検層記録から読み取った初動より走時曲線を作成し,速度構造を求めた.走時曲線図を図3−8−1(P波),図3−8−2(S波)に示す.孔井付近の速度分布は,下表に示すようにP波では3層に,S波では4層に大きく分けられる.

表3−8−3 PS検層結果一覧

PS検層データから合成反射記録を作成するVSPデータ処理手順を図3−8−3に示し,以下に概説する.

1)編集

2)振幅調整(AGC)

球面発散や発振ごとのばらつきを補正することを目的として,初動振幅を全深度で一定値にそろえる補正を行う.

3)初動走時の読み取り

4)帯域通過フィルタ

5)ミュート(Top & Bottom)

初動付近及び浅部のデータでチューブ波※と考えられる部分をミュートする.

6)下方・上方進行波の分離

進行方向の違いを利用して,F−Kフィルタなどにより下方進行波と上方進行波を分離する.

7)上方進行波のタイムシフト

垂直往復走時への変換は,初動読み取り走時分だけタイムシフトさせることにより実施する.

8)垂直重合

9)深度変換

時間から深度への変換には検層走時を用いている.

本処理に用いられたパラメータをまとめて,表3−8−4に示す.

※チューブ波:孔井内の流体中を孔井軸方向にほとんど減衰することなく伝搬する波で,孔壁の弾性の影響を受けた境界波である.伝搬速度は流体の速度(1500m/s)に近い.

表3−8−4 VSPデータ処理仕様

VSP処理によって作成された合成反射記録および地層との対比を図3−8−4に示す.合成反射記録は往復走時で表しており,初動の読み取り走時は片道で表している.