反射法地震探査に先立って,全受振点・発震点の水準測量及びトラバース測量を実施した.なお,各測線の水準測量の基準は次のとおりである.
新篠津測線:1/25,000地形図の測点No.85付近の図根点(標高10m)(図3−6−1)
北広島測線:1/25,000地形図の測線東端から約350m北東方の道道江別恵庭線道路上の図根点(標高19m)(図3−6−2)
(2)テスト
各測線での本測定に先立って,下表に示すテストを実施した.
│測線名 │震 源 │P/S波 │発震位置 │受振範囲 │テスト内容 │
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│新篠津 │ミニバイブ │P │No.30 │No.31〜149 │発震周波数 │
垂直重合数
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│北広島 │ミニバイブ │P │No.51 │No.52〜170 │発震周波数 │
垂直重合数
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A.新篠津測線
a)発震周波数テスト
発震周波数帯域を10〜30Hz,30〜50Hz,50〜80Hz,80〜120Hz及び120〜200Hzに分けて,本地区の周波数特性を検討した結果,本地区は全体に低周波が卓越し,120〜200Hz では反射イベントはほとんど認められない.次に10〜70Hz,10〜90Hz及び10〜120Hzの広域周波数帯域とした場合のデータを検討した.発震周波数帯域10〜120Hz では高周波ノイズが卓越する.10〜70Hzと10〜90Hz で大きな差は認められないが,分解能を考慮して,10〜90Hzが良いと判断した.
b)垂直重合数
垂直重合数を1,2,4及び8回で比較した.その結果,垂直重合数が多いほどS/N比は向上することが判明した.しかし,測線上あるいは測線を横断する車輌が予想以上に多いことを考慮して,本測定では,車輌ノイズのない状態で垂直重合数6回として実施することとした.
B.北広島測線
a)発震周波数テスト
発震周波数帯域を10〜30Hz,30〜50Hz,50〜80Hz,80〜120Hz及び120〜200Hzに分けて,本地区の周波数特性を検討した.その結果,120〜200Hz の周波数帯域においても反射イベントが認められるが,他方音波ノイズが卓越することから120Hz以下の周波数帯域が望ましいと判断される.次に10〜70Hz,10〜90Hz及び10〜120Hzの広域周波数帯域とした場合のデータを検討した結果,周波数帯域10〜120Hzが高分解能であることから,本周波数帯域で測定を実施することとした.
b)垂直重合数
垂直重合数を1,2,4及び8回で比較した結果,垂直重合数が多いほどS/N比は向上している.しかし,測線東端を走る列車本数が非常に多いことおよび測線上の車輌通行が多いことを考慮して,本測定では,列車及び車輌ノイズのない状態で原則として垂直重合数を4回とし,記録の質にあわせて増減させることとした.
(3) 測 定
テストの結果に基づき,表3−6−1に示す仕様で測定を実施した.
表3−6−1 浅層反射法探査仕様一覧
測定手順は以下のとおりである.
図3−6−4の受振器配置図に示すように,あらかじめ受振器を各測点毎に設置し,本線ケーブル(CMPケーブル)に接続する(受振器6個/点).
探査深度が500m程度であることから,最大受振距離を500m以上にすることが望ましく,そのため測定はオフエンド展開で行った.図3−6−5にオフエンド展開の概念図を示す.×印点において発震する場合,各受振点で受けた信号は CMPケーブルにより観測車内の探鉱機へ送られる. 探鉱機では各スウィープ毎にパイロット信号との相互相関を行い,更に各測点毎に所定の垂直重合を行った後,モニター記録をチェックし,記録がよければ探鉱機内のハードディスクに書き込む.
その測点での測定が終了すると震源は次の点に移動して同様の発震を行う.以下この測定作業を繰り返す.なお,次の点への移動距離は通常測定では発震点間隔(5m)であるが,記録の質が測線全体にわたって平均的になるよう,本測定では往路は奇数測点で,復路は偶数測点で発震を行っている.この結果,測線中央付近では片側120チャンネルのスプリット展開の形となる.このような測定方法は共通反射点水平重合法と呼ばれる.本測定での反射法探査の概念図を図3−6−6に示す.