3−2−2 広域測定

委員会において,当別断層の地下構造を推定するためにはプロファイル測定だけでは不十分であり広域の傾向を把握する必要があるとの指摘を受けたため,北4号線および南4号線を中心にした広域測定を追加実施した.測定は,調査域を緯度経度それぞれ1分のメッシュに区切り,メッシュ内で最低1点測定した.使用した重力計はプロファイル測定と同器である.各測点の標高は1/5000国土基本図および1/25000地形図に示されている三角点や標高点を用いた.測定点数は66点であり,ブーゲ異常を求める各補正および各点の重力値の決定はプロファイル測定と同じである.補正後の重力値の一覧を表3−5−1−1表3−5−1−2に示す.

得られたブーゲ異常分布を図3−5−5に示す.黒の実線は等重力線(1mGal間隔)を示し,赤の実線は地形等高線(標高100mまでは20m間隔,それ以上は100m間隔)を示している.なお,コンターを作図するうえで,測定データが全体に均質な分布となるようにしたため,プロファイル測定の値は使用していない.

ブーゲ異常の全体傾向は,北部で大きく南部に行くにしたがい小さくなっていく.北から尾根状に張り出した高異常は,北4号測線付近より南ではその構造は不明瞭となり,変わって南西から谷状の低異常が現れてくる.これらのブーゲ異常の構造の波長は長いので,比較的深部における褶曲構造を反映していると推定される.地質構造と比較するならば,高異常の張り出しは,中小屋半ドーム構造および金沢背斜に,谷状の低異常は当別向斜に対応すると考えられる.

また,小さな異常に着目すると,北4号測線のほぼ中央で等重力線が急激に屈曲していることが注目される.この屈曲異常は,先のプロファイル測定でも認められており,南4号線付近まで少なくとも3〜4km続いている.したがって,この異常は見かけの上のものではなく,地下浅部における構造(断層)を反映したものと推定される.