測定期間を通して重力計のドリフトはほぼ一定(約500μGal/day)であったが,風が強い日や国道付近では地面の振動による測定値のばらつきがやや大きくなった.しかし,これらをすべてドリフトとみなして時間に対して線形と仮定して補正した.この他地球潮汐補正および器高補正をし,重力値は北海道大学理学部にある一等重力点の値を基準にして決定した.地形補正およびブーゲー補正は平均密度を2.2g/cm3と仮定し,それぞれ各測点から半径80kmの範囲内でおこなった.これらの補正後の重力値の一覧を表3−5−1−1、表3−5−1−2に示す.
各測線のブーゲー異常を地形断面とともに図3−5−4−1、および図3−5−4−2に示す.当別町−新篠津村間の北4号および南4号測線は,ほぼ平坦な畑・田を通る道路のため,測線長が2.5〜4kmと長いのに対して標高は3〜4m程度しか変化していない.地形同様にブーゲー異常の幅も変化は小さく,最大1mGal程度である.ブーゲー異常には推定される背斜構造(金沢背斜)に対応すると考えられるわずかなHighが認められる.
江別市の野幌高校測線は標高差が約25mあり,ブーゲー異常も低地に向かうにしたがい小さくなっていく.しかし,地形が明瞭な撓曲構造をとっているにもかかわらず,ブーゲー異常はほぼ直線的に変化しているのが特徴である.特に,撓曲構造の前後付近でそれぞれブーゲー異常がややHighになっているのが注目される.
北広島測線は標高差が約50mあり,野幌高校測線同様,低地に向かうにしたがい地形なりにブーゲー異常も小さくなっていく.この測線中央部にはブーゲー異常が明瞭にHighになっている部分があり,それはちょうど測線北側に推定されている逆向き低断層崖の南方延長部にあたる.また,撓曲の範囲にわずかなHighが認められる.