Tn−t0,Tn−t0’は,標高100m〜120mおよび60m〜80m付近に分布する,開析の著しい小規模な平坦面からなる.
Tn−1は,標高70m〜30mで,緩斜面をなしている.Tn−2も同様で,標高30〜20m付近に分布する.Tn−t3は,沖積面であるが,泥炭地の低地および現河床氾濫原面よりはやや高い.
活断層のリニアメントは,山地の高度不連続,三角末端崖から認識されるが,一部,撓曲も見られる.リニアメントの走向は,ほぼNSトレンドであるがNW−NEに「くの字または逆くの字」に急激に走向を変える.リニアメントは,Tn−t1を通過し三角末端崖をなす.また,三角末端崖の崖下の崩壊堆積物にもリニアメントが見られる(中小屋スキー場).
セグメントbの東側前縁にも,ほぼ並列する走向の撓曲が認められる.これを新たにセグメントb2と呼ぶ.リニアメントは,Tn−t2およびTn−t3を通過する.本中小屋では,Tn−t3が撓曲しているが,その他のTn−t3は撓曲変形を受けていない.今のところ,地形面の形成年代が微妙に異なると解釈しているが,詳細は不明である.また,比高差についても計測を実施しておらず今後の課題である.なお,空中写真を判読した限りでは累積性が確認できる.本セグメントは,累積性があることから活断層の可能性が高い.しかし,Tn−t3の撓曲崖の大部分は侵食を受けており,地形の形状が不明瞭である部分が多いことや,比高差の詳細・断層露頭の未確認を考慮すると確実度Uの断層として今回新たに記載し,今後検討することとする.なお,セグメントb2の北方延長となる,赤間の沢および篠津川上流にも直線的なリニアメントが存在する.しかし,リニアメントの前後に,変位基準面が全くないことから確実度Vの活断層として扱い,今後検討することとする.