早来測線2(極浅層反射法)では地表下20〜30m付近に明瞭な反射面が得られたが,これは早来測線1と同様に新第三系と第四系の境界と判断される(図3−4−2下段図).上位を占める第四系は測線の中央部付近で顕著な隆起構造(東急西緩)を示している.この構造の内,東翼の急傾斜部は地表部の逆向き低崖と比較するとやや西にずれているが,それは低角逆断層が存在していると解釈される.第四系は厚さが20〜30mとみなされるが,反射パターンにより大きく3分できる.すなわち,上位より,表層付近に途切れ状に存在するパターンの明瞭な部分,パターンのやや不明瞭な部分,下部のパターンが明瞭で上記の隆起構造を明瞭に示す部分である.これらは周囲の地表地質状況から判断すると上位より,現河川沿いの沖積層,恵庭・支笏火山噴出物および段丘堆積物に対応している.
早来測線1・2で解析の主対象とした馬追断層aは自衛隊駐屯地内での調査などから,少なくとも恵庭a火山灰までを巻き込んで活動していることは確実で,泉郷断層と類似の活動をしていると判断される.これらのことから,地形地質調査で指摘されているより新しい活動の存在を確認するためには,河川沿いなどの堆積物・地形調査をする必要がある.図3−4−3に示すように,フモンケ川が馬追断層aを横切る所では,沖積面1(a1;高位のもの)に撓曲が認められており,新しい断層活動の証拠ではないかとして注目できる.そのため,付近で前段調査として群列ボーリングを実施し,沖積面1の撓曲部およびより低位の現河川氾濫原面(沖積面2)を対象として大小のトレンチによる調査を実施することが適当と判断される.