緑ケ丘地区については,次のようなことがいえる.
@M−3孔およびM−4孔間
浅層反射法岩見沢測線の結果では図3−2−1−15および図3−4−1下段図に示されるように,基点0m〜150m間の最上部に,水平な強い反射面が認められる。この反射面はボーリング調査結果とあわせると,新第三系上限面(更新統基底面)を反映したもので,断層による変位は認められない.一方,この反射面は,M−3孔付近で途切れており,北西側(M−3孔より北西側)では,新第三系が撓曲しているように読みとれる.また,M−4孔直下標高100m付近に認められる反射面は,北西側で緩,南西側で急傾斜を示す撓曲状の構造を示している.このM−3孔およびM−4孔間の地質構造は,M−3孔が50゚程度で傾斜する追分層の泥岩,一方,M−4孔は15゚程度で傾斜する清真布層の砂岩からなることから,両者の間に断層の存在が示唆される.
一方,ボーリング調査結果(図3−4−1中段図)によると,M−3孔およびM−4孔間の新第三系上限面に,断層による変位を想定することは困難であることから,この断層は新第三系中にのみ発達する可能性が高いが,M−3孔およびM−4孔間は94m離れており,図3−4−1下段図に示すように,不自然ではあるが,断層により更新統が変位しているのかもしれない.
A反射測線外
一般に逆断層の場合は,新しい断層面はより前面に移動すると言われている.また,断層活動を反映した変位地形は,その後の浸食等により後退していることがしばしば認められることから,現在リニアメントと判読された位置は,実際の断層分布位置より隆起側に移動していることが考えられる.この場合は,断層はリニアメント判読地点の東側,すなわち調査範囲の南東側に存在することが予想される.
以上のことから,今後,調査地の南東側でボーリングによる調査を実施し,断層の存在を検討するとともに,M−3孔およびM−4孔間でボーリング調査を実施し,新第三系基底を変位させる断層が存在するかどうかを確認する必要がある.