(1)ボーリング状況と地質判定

リニアメントを挟んで南東側に2孔(M−1孔およびM−2孔),北西側に2孔(M−3孔およびM−4孔)の計4孔の孔を掘削した.緑が丘地区のボーリング調査位置を図3−3−18に,地質柱状図を図3−3−19図3−3−20図3−3−21図3−3−22に,電気検層記録(比抵抗)を図3−3−23図3−3−24に,ボーリング状況およびコアの写真を図3−3−25図3−3−26図3−3−27図3−3−28図3−3−29図3−3−30図3−3−31図3−3−32に示す.

@M−1孔(孔口標高:31.17m,掘削深度:25.00m,図3−3−19図3−3−23図3−3−26

リニアメントの最も南東側で掘削したボーリング孔で,リニアメント延長部の東側を掘削した.粘土〜シルトについては三重管を用いて,砂〜砂礫については無水掘削によりコアを採取した。本孔については,緑が丘地区のリニアメント東側の代表孔として電気検層を実施した.

地質構成は,以下のとおりとなっている.

★0.00〜18.70m:上部は主として灰色を呈するシルト〜粘土からなり,下部は砂礫からなる.上部のシルト〜粘土のうち,0.75〜4.80m間は全体に火山灰質で,直下に腐植土あるいは有機質粘土を伴い,その下位は均質で比較的硬質な粘土質シルトからなる.0.75m付近,1.70〜2.05m,2.80〜2.88m,4.63〜4.80mおよび11.09〜11.15mには,軽石あるいは火山灰が挟在している.このうち1.70〜2.05mのものは灰色を呈し,径2〜8oの絹糸状軽石を含有して支笏第1(Spfa−1)に,4.63〜4.80mのものは黄灰色を呈する細粒ガラス質火山灰で洞爺(Toya)に対比される可能性がある.3m

付近および5.15mに腐植物が層状に挟在している.下部の砂礫層を構成する礫は,安山岩,砂岩,頁岩等で,礫径は5〜30o程度あることが多い.基質は粘土質な部分と砂質な部分が認められ,礫含有率は70〜80%を示す.面を構成する更新統とみなされる.

★18.70〜25.00m:暗灰色を呈する塊状無層理の泥岩からなる.部分的に炭質物が点在する.新第三系中新統の追分層に相当する地層であると判断される.電気検層の結果によると,高比抵抗を示す部分は砂礫層に,低比抵抗の部分は粘土〜シルト層に対応しており,下方に向かって比抵抗値が上昇している.深度17〜18m付近にピークを有する高比抵抗部は,更新統基底の礫層に対応している.

AM−2孔(孔口標高:31.57m,掘削深度:23.00m,図3−3−20図3−3−25図3−3−27

M−1孔の北西側42.0mの地点で,リニアメントの東側を掘削した。粘土〜シルトについては三重管を用いて,砂〜砂礫については無水掘削によりコアを採取した.

地質構成は,以下のとおりとなっている.

★0.00〜19.60m:上部は主として灰色〜暗灰色を呈する均質で比較的硬質なシルト〜粘土からなり,下部は砂礫からなる.11.25〜12.90m間に径3〜30oの砂岩,頁岩,安山岩等の礫からなる砂礫層を挟在する.上部のシルト〜粘土のうち0.58〜4.83m間は全体に火山灰質で,直下に腐植土あるいは有機質粘土を伴う.その下位は均質で比較的硬質なシルト質粘土からなる.0.84〜0.94m,1.03〜1.07m,1.57〜1.85m,2.41〜2.42m,3.20〜3.25m,4.65〜4.80mおよび4.90〜4.93mには軽石あるいは火山灰が挟在している.1.57〜1.85mのものは褐灰色を呈する細砂〜シルトサイズの火山灰で輝石を多く含み支笏第1(Spfa−1)に,2.41〜2.42mのものは淡桃色を呈する細粒ガラス質火山灰で阿蘇4(Aso−4)に,4.65〜4.80mものは黄灰色を呈する細粒ガラス質火山灰で輝石を少量含み洞爺(Toya)に,4.90〜4.93mのものは淡桃色を呈するシルト質火山灰で輝石を多く含みクッチャロ羽幌(Kc−Hb)あるいは厚真4(Aafa4)に対比される可能性がある.下部の砂礫層を構成する礫は,安山岩,砂岩,頁岩等で,礫径は5〜30o程度で,礫含有率は70〜80%を示す.面を構成する更新統とみなされる.

★19.60〜23.00m:暗灰色を呈する泥岩からなる.45゚〜65゚の葉理が認められる.新第三系中新統の追分層に相当する地層であると判断される.

BM−3孔(孔口標高:32.34m,掘削深度:25.00m,図3−3−21図3−3−24図3−3−28図3−3−29

M−2孔の北西側43.0mの地点で,リニアメント西側を掘削した.粘土〜シルトについては三重管を用いて,砂〜砂礫については無水掘削によりコアを採取した.本孔については,緑ケ丘地区のリニアメント西側の代表孔として電気検層を実施した.

地質構成は,以下のとおりとなっている.

★0.00〜21.75m:上部は主として灰色〜暗灰色を呈するシルト〜粘土からなり,下部は砂礫からなる.11.50〜14.10m間には,頁岩,泥岩,砂岩,安山岩等の5〜30o程度の礫からなる砂礫層を挟在する.上部のシルト〜粘土のうち0.25〜4.85m間は全体に火山灰質で,直下に腐植土あるいは有機質粘土を伴う.その下位は均質で比較的硬質な暗灰色シルト質粘土からなる.0.68〜0.70m,1.37〜1.40m,2.57〜2.67m,4.55〜4.85mおよび4.86〜4.88mには軽石あるいは火山灰が挟在している.このうち1.37〜1.40mのものは褐灰色を呈するシルト質な火山灰で径2o軽石を含み輝石が点在して支笏降下軽石(Spfa−1)に,4.55〜4.85mのものは淡黄灰色(下部は桃灰色)を呈する細粒ガラス質火山灰で洞爺火山灰(Toya)に,4.86〜4.88mのものは淡褐色を呈するシルトサイズの火山灰でクッチャロ羽幌(Kc−Hb)あるいは厚真4(Aafa4)に対比される可能性がある.下部の砂礫層を構成する礫は,安山岩,砂岩,頁岩,凝灰岩,花崗岩等で,礫径は5〜30o程度で,礫含有率は70〜80%を示す.面を構成する更新統であり,はさまれる火山灰からその時代は後期更新世とみなされる.

★21.75〜25.00m:暗灰色を呈する泥岩からなる.50゚の傾斜を示す葉理が認められる.新第三系中新統の追分層に相当する地層であると判断される.電気検層の結果によると,高比抵抗を示す部分は砂礫層に,低比抵抗の部分は粘土〜シルト層に対応しており,深度14m付近にピークを有する高比抵抗部はシルト〜粘土層に挟在する砂礫層に,深度19m付近にピークを有する高比抵抗部は,更新統基底の礫層に対応している.

CM−4孔(孔口標高:32.72m,掘削深度:42.00m,図3−3−22図3−3−30図3−3−31図3−3−32

M−3孔の北西側94.0mの地点で,リニアメントの西側を掘削した.粘土〜シルトについては三重管を用いて,砂〜砂礫については無水掘削によりコアを採取した.

地質構成は,以下のとおりとなっている.

★0.00〜19.90m:上部は主として褐灰色〜暗灰色を呈するシルト〜粘土からなり,下部は砂礫からなる.11.15〜11.95m間に砂〜砂礫層を挟在する.上部のシルト〜粘土のうち0.30〜5.26m間は全体に火山灰質で,直下に腐植土あるいは有機質粘土を伴う.2.70〜2.75m,3.60〜4.25m,4.70〜5.00mには火山灰が挟在している.このうち4.70〜5.00mのものは淡黄灰色(下部は緑灰色)を呈する細粒ガラス質火山灰で洞爺(Toya)に対比される可能性がある.下部の砂礫層を構成する礫は,安山岩,砂岩,頁岩,凝灰岩,花崗岩等で,礫径は5〜50o程度で,礫含有率は60〜70%を示す.地層の年代などの判断はM−3の0〜21.75m間と同様である.

★19.90〜42.00m:暗灰色を呈する砂岩からなる。雲母片が点在し腐植物を混入する.サンドパイプ等の生物擾乱による構造が認められる.5゚〜20゚程度の傾斜を示す葉理が認められる.新第三系鮮新統の清真布層(峰延層)に相当すると判断される.