(4)まとめ

以上の結果を,表3−1−1−5に総括し,活断層分布図を作成した(図3−1−1−11).

調査地域内での岩見沢断層と栗沢断層は総延長約15km以上である.逆向き低断層崖であるIBT1とKBTは両者とも第三系の構造に規制された層面すべり断層である.両断層の連続性を検討する資料はないが,第三系の分布は幌向川低地を挟んで岩見沢地域と栗沢地域で食い違っており,既存資料ではここに東西性の胴切り断層を推定している.IBT1とKBTはいずれも南部で追分層中の層面すべりとしてみられ,北部では清真布層と追分層の境界断層となっている.したがって両者が連続しているとは考えにくい.ただし,このことによって活動の同時性が否定される訳ではない.なお,南方の長沼町北長沼の撓曲崖まで,3.5kmの区間は沖積層下で不明である.

t2面,t3面,t4面の年代をそれぞれ200ka,125ka,70kaとすると, 両断層とも主撓曲は0.1〜0.2kyr.程度(B級下位)の活動度である.バックスラストの活動度はKBTで0.07〜0.02m/kyr.,IBT1が0.02〜0.03m/kyr.,IBT2が0.06〜0.03であり,概ねC級中位からC級下位となる.

以上の結果をもとに,主撓曲帯の地下構造の有無を確認するために,反射法地震探査ではIMFとIBT1を両方の把握をするために緑が丘の測線(1km+)を選定した.次年度調査としては,バックスラスト・主撓曲の最新活動期と活動間隔を把握するために,トレンチ調査や群列ボーリングが考えられる.トレンチ候補地点としてはKBTとIBT1の沖積面各3箇所とIBT2の1箇所を候補に比較検討した.その結果,最新活動期の決定と,用地上の問題を考慮して,@岩見沢市日の出(沖積面),A岩見沢市緑が丘(t3'面)の2個所を選定した.なお,当初の判読ではAは低位面と推定されていたためである.この両地点はいずれも地形変位はなく,位置の確定が難しいため,トレンチを実施する前に地質状況の把握が必要と判断された.