石狩低地東縁断層帯は延長60kmあまりになり,5つの活断層と撓曲帯から形成されていることから,その全域での地形判読が重要との判断から,まず空中写真判読を全長にわたりほぼ2kmの幅で実施した(図2−1).次に逆向き低断層崖などの明瞭なリニアメントとしてとらえられている岩見沢断層・栗沢断層および泉郷・馬追・嶮淵断層とその周辺地域については詳しい検討が必要と判断し,計50km2の範囲について現地踏査を行った(図2−2、図2−3).
[物理探査(浅層反射法・極浅層反射法地震探査)]
まず,人口集中地域の中軸に活断層(岩見沢断層)が存在するが,開発により地形改変が進みかつ露頭の少ないことから地形地質状況の把握が困難である岩見沢市街に浅層反射法1測線(岩見沢測線1.2km長)を設定し,ボーリング調査と対応させトレンチ調査の可能性をさぐることにした(図2−2).次に,千歳市街地および千歳空港に隣接し,活断層(馬追断層など)が逆向き低断層崖としてとらえられているが,厚い火山灰層におおわれその性状が不明確な早来町富岡地域で,浅層反射法1測線(早来測線1;1.2km長)を設定し,次年度でのボーリング調査およびトレンチ調査の可能性を検討した(図2−3).さらに,北海道横断自動車道路(コムカラ峠)などで1万数千年前に降灰した恵庭a火山灰を明確に切る露頭が出現している泉郷断層を対象として,泉郷地域において極浅層反射法1測線(泉郷測線0.5km長)を設定し,1万年前頃以降の最新活動をさぐる次年度計画のピット調査・ボーリング調査の具体的内容を検討することにした(図2−3).なお,富岡地域については次年度にトレンチ調査を計画している町道フモンケ線沿いで極浅層反射法1測線(早来測線2,0.5km長)を設定した(図2−3).
[ボーリング調査]
岩見沢市街において,逆向き低崖の連なりとして現れる岩見沢断層と交差する方向に群列ボーリングを2地区(日の出・緑ケ丘)で設定した(図2−2).日の出地区はポントネ川に沿う谷状の低地で,最新の堆積物(沖積層)中に変位が存在するかどうか確認するのにふさわしい箇所として選定し,そこではH−1〜5の5孔(各順にボーリング深度は30m,20m,30m,25m,25m)を施工・調査した.緑ケ丘地区は浅層反射法測線に沿う箇所で,最下位段丘面上に逆向き低崖が認められる所であり,1万年前以降の変位状況が確認出来ることから選定し,そこではM−1〜4の4孔(各順にボーリング深度は25m,23m,25m,42m)を施工・調査した.