5−2−1 調査概要
海底部の試料採取には通常ボーリングが行われるが、日数・費用がかかり、また1〜1.5mずつ採取していくために連続した試料を得ることが難しい。一方、ピストンコアリングは、堆積物が比較的細粒の場合、簡便にほとんど乱れなしで採取できる長所を持っている(6)(7)。ピストンコアリングの原理は、注射器に薬を注入する場合と同じである。注射器の押し出す部分(ピストン)を引っ張って円筒部に薬を吸い込む。ピストンコアリングの場合試料を採取するパイプにピストンがついており、ピストンを引っ張ることによってパイプに堆積物が吸い込まれていく。実際にはピストンは海底に停止し、パイプが海底に突き刺さって沈み込むことにより内部に堆積物を吸い込んでいく。こうして連続した海底堆積物の試料が採取される。採取された試料は、室内で取り出され分析され、堆積物の粒径や堆積順序、堆積年代などが明らかにされる。