(1)Co2(陸に近く三角州前面のほぼ全域を探査した測線)

Co2の記録断面図を図5−4−1図5−4−2図5−4−3図5−4−4に示す。本測線では、海底面は井口側から太田川放水路を経て出島まで次第に下がって、出島から坂まではほぼ平坦になっている。井口と太田川放水路の間にみられる凹凸は、井口埋め立て地前面の浚渫によるものである。また太田川放水路の部分はやや盛り上がっており、その下には厚さ約3mの盆状のやや濃い縞状反射面が認められる。これは太田川により供給された最近の砂が堆積したものと考えられる。

測線全体にわたって、海底面下約10数mに強い反射面が認められる。これはアカホヤ火山灰層と判断される(音波記録では反射面が何を表しているのかは推定するに止まるが、今回、次項に述べるピストンコアリングによる試料採取でこの反射面の堆積物が確認できたので、以下ではこれをアカホヤ火山灰層と呼ぶ)。これより上位は全体に白く抜けており、比較的細粒(シルト質)の堆積物からなると推定される。アカホヤ火山灰層より下位も白く抜けたところが多く細粒堆積物が多いと思われるが、部分的に反射が強いところもある。これははさみ込まれた砂層を示していると考えられる。海底面下約20m(金輪島や坂付近では約15m)にも強い反射面があってこれより下方は構造を読み取ることができない。ここは音響的基盤面と呼ばれ、発信された音波がこれより下方に届いていないことを示す。この面より下方は礫質の粗い堆積物と考えられ、更新世砂礫層が分布していると推定される。

本測線での変位構造に関する所見は以下のとおりである。

・カットライン295及び297:海底面下約23mに強い反射面があり、落差2〜3mで階段状に太田川放水路側に向けて下がっている。295の段差の上方の2枚の反射面は変位がない。297の段差は緩勾配でその上位の2枚の反射面はわずかに撓んでいるが互いに逆向きである。

・カットライン335:最下部に反射パターンの異なる2層がほぼ垂直に接している。 しかしその上位反射面に変位はない。

・上記以外に目立った変位構造はみられない。

以上から、本測線では断層運動に関連すると思われる変位構造は分布しないと判断される。