トレンチ掘削地点は、五日市断層の北端部、佐伯区上小深川の谷底部である。図4−12及び図4−13にトレンチ周辺の平面図を示す。本地点は二本の谷が合流するところで、谷底の幅は約30m、傾斜は約13%である。谷筋は右ずれ屈曲しており、その変位量は約80mである。屈曲した谷筋の前面には標高184.9mの尾根が閉塞丘状に残っている。
二本の谷筋の屈曲点を結んだライン(北北東−南南西方向)に断層線を推定し、まず比抵抗二次元探査を行い、ある程度の厚さをもつ堆積物の存在を確認した。次に断層線を横切るようにトレンチを設計した。
トレンチの長軸はほぼ東西方向で、長さ約25m、トレンチ底の幅1〜2m、深度は約4mで、壁面の勾配は60°〜70°とした。トレンチは、2台のバックホウで荒掘削したのち、シャベル、ねじり鎌、ブラシ等を用いて人力で平滑にし、赤いスプレ−によって1m間隔のグリッドを印した。壁面の観察に際しては、汲み上げた沢水で壁面をクリーニングした。