4−1−2 判読地域の地形概要

判読地域は、広島市の市街地西方約10kmの広島市佐伯区五日市町倉重地区から市街地北西方約10kmの安佐南区沼田町奥畑地区にかけての山地および丘陵地帯である。本地域は、極楽寺山(標高693m)から窓ヶ山(標高711m)、向山(標高669m)と続くほぼ北東−南西方向に延びる山列(窓ヶ山山列)とその南東側の武田山山列との間に位置し、平地に乏しく大部分が傾斜地からなっている。

本地域を含む広島県西部の地形的特性については、己斐断層分布域の項で述べたとおりである。本地域は、北東−南西に延びる窓ヶ山山列の南東側斜面末端付近に位置している。 この付近に発達する主な水系は以下のとおりである。

・八幡川水系:己斐の谷に発達する河川と同名である。しかしこちらの八幡川の方が圧倒的に流域が広く、源流は窓ヶ山山列よりさらに北西にある別の山列にある。八幡川は窓ヶ山山列を東西方向に分断して急峻な渓谷を形成しながら東に流れ、判読地域の五日市町下小深川付近で大きく湾曲して南に向きを変え、五日市町内を南に流れて瀬戸内海に注いでいる。

・古野川及び野登呂川水系:この水系は八幡川の支流で大きくは八幡川水系に入るが、判読地域のなかで占める範囲が広いためここに挙げた。両河川はほぼ並行して窓ヶ山山列の中の向山付近を源流点として南東斜面を流れ、五日市町上小深川地区を南南西に流れて八幡川の湾曲部付近で八幡川と合流している。右岸側すなわち北北西方向からの支流が多く、多数の山麓斜面を刻む谷が形成されている。

・奥畑川水系:向山から東に延びる稜線が分水嶺となって、河川はこれより北側では北北東方向に流れる。判読範囲の中でそれは太田川の支流、安川の源流付近の奥畑川となる。奥畑川にも窓ヶ山山列の南東斜面を流れる南東あるいは東南東向きの多数の小河川が合流するが、それらは奥畑川合流手前で向きを北北東に変えている。