3−5 己斐上二丁目トレンチ

本トレンチ周辺は、東方の標高315mの山地と、西方の標高108mの山地の間に直線谷が発達し、中央部には標高100m前後の鞍部が存在する。直線谷は北北東−南南西に約800mにわたって延びており、これは、己斐断層の走向とほぼ同じである。

トレンチ発掘は、この鞍部の頂上部(己斐上二丁目)で、断層線の推定位置を横切るように2箇所について設計し、南側をNo.3トレンチ、北側をNo.4トレンチとした。No.4トレンチについては宅地造成のため、用地が確保できず、推定される断層線よりも西側を掘削することとなった。図3−26にトレンチ位置周辺の平面図を示す。

No.3トレンチは、まずほぼ東西方向に長さ約17m、トレンチ底の幅2〜2.5m、深さ約5mの規模で掘削を行った。その結果、トレンチ中央部の基盤花崗岩中にN25°E、70°NWの走向・傾斜で出現した。しかし、断層直上には直径1mの送水管パイプが設置されており、基盤を覆う堆積物の観察ができなかった。そこで北北西−南南東方向へと再び掘削し(長さ約18m、トレンチ底の幅3〜5m、深さ約5m)、断層の延長を追った。断層の走向・傾斜はほとんど変化はなかった。

No.4トレンチは、No.3トレンチの北側及び西側を補完する目的で掘削した。トレンチの長軸は北西−南東方向で、長さ約18m、トレンチ底の幅約4m、深度は約7mの規模である。基盤花崗岩には、熱水脈、変質帯が認められるが、断層は確認されなかった。

両トレンチとも、バックホウでの荒掘削後は、スコップ・ねじり鎌・ブラシ等で平滑にし、1mのグリッドを赤スプレ−で記した。

スケッチは勾配60〜70°の壁面上のグリッドに準拠して行い、各スケッチの縦軸は法面上での長さである。スケ−ルは全体を1/20で行い、断層付近を1/10で行った。