3−4−4 断層変位量と変位の向き
変位量を求めるためには断層をはさむ両側で何らかの基準が必要である。今回、No.2トレンチの底部に、砂礫層に覆われる前の谷筋が現れたことから、谷筋の移動量を計測するという図3−24に示す方法で断層変位量を測定した。断層直下流の岩盤上面は、被覆した砂礫層を徐々に掘り下げる方法で露出させたものである。測定の結果、変位量は若干の誤差を含むが、1.1mであった。これは、この断層の最新活動に伴う一回の地震変位量であると考えることができる。また、断層面には、断層が動いた時に形成されたと推定される擦痕が観察でき、その方向はほぼ水平であった(図3−25)。このことから断層の動きは上下成分がほとんど認められず、水平成分がこの断層の変位の主体であると考えられる。