一方、No.2トレンチには第V層以下に砂礫を主体とした土石流堆積物(第Wから第[層まで)が分布する。各層は主として礫径とマトリックスの違いによって8層に区分した。これらの砂礫層中の木片の14C年代値により、第W層がAD1165−1285年〜AD1270−1305年、第X層がAD695−960年、第Y層がAD880−1005年〜AD1035−1205年の年代が得られた。しかし、第Z層と第[層については、年代測定可能な炭素物質も、火山ガラスも見出せなかった。
両トレンチの層序対比については、連絡トレンチを掘削して壁面を観察したが、地層境界が不明瞭であったため、正確な対比が困難であった。No.1トレンチの第W層は層相的にNo.2トレンチのいずれの層にも対応し難いが、年代測定結果から第Z層もしくは第[層に対比できるものと推定される。