3−4−2 堆積物の年代と層序対比

基盤を覆う堆積物は、堆積状態と層相をもとに、No.1トレンチで5層、No.2トレンチで8層に区分した。両トレンチとも上位2層は耕作土、人工盛土である。第V層は石垣を築造して水田にする前の表土と考えられる。本層中に含まれる木片の14C年代値により、AD1485−1660年が得られた。また、アカホヤ火山灰(約6400y.B.P)が散在しているが、かなり変質していることから、火山灰を含む地層は2次堆積物と推定される。No.1トレンチでは第W層が断層露出岩盤の直上層となっており、本層の最下部には断層イベント層準と推定される、厚さ5〜10cmの有機質土層が分布している。この有機質土層及び周辺に含まれる木片(炭)の14C年代値により、AD790−970年〜AD1275−1385年の年代が得られた。

一方、No.2トレンチには第V層以下に砂礫を主体とした土石流堆積物(第Wから第[層まで)が分布する。各層は主として礫径とマトリックスの違いによって8層に区分した。これらの砂礫層中の木片の14C年代値により、第W層がAD1165−1285年〜AD1270−1305年、第X層がAD695−960年、第Y層がAD880−1005年〜AD1035−1205年の年代が得られた。しかし、第Z層と第[層については、年代測定可能な炭素物質も、火山ガラスも見出せなかった。

両トレンチの層序対比については、連絡トレンチを掘削して壁面を観察したが、地層境界が不明瞭であったため、正確な対比が困難であった。No.1トレンチの第W層は層相的にNo.2トレンチのいずれの層にも対応し難いが、年代測定結果から第Z層もしくは第[層に対比できるものと推定される。