(2)安佐南区祇園町山本地区周辺

図3−4

・空中写真の種類:

昭和41(1966)年撮影、縮尺1/2万、国土地理院、写真ナンバーCG−66−5X,C9B−3及びC9B−4。

・地形概観:

本地点には、南南西、西北西、及び北方の3方向からの小河川が流れ込んでおり、図中右側(東側)の低地へ集まっている。南南西から流れてくる河川は、西区と安佐南区の境となる分水嶺付近を源流点としており、北北東に流れたのちに東へ流路を変えて山本川となる。西北西から流れてくる小河川は多数あるが、いずれも武田山山列の南東斜面を刻む谷となっている。北方から流れてくる河川は武田山付近を源流として流れ出したものである。武田山山列南東斜面の末端面に位置するため、全体に傾斜は緩く、尾根が小丘陵状に残っている。

・変位地形

西北西から流れてくる多数の小河川が形成する谷には、(1)で述べたような系統的な屈曲を認めることはできない。しかしながら、北北東−南南西方向に刻まれた谷とそれに続く鞍部の分布という繰り返しがここでは認められる。図中@は明瞭な鞍部とそこから北北東に刻まれた短いが比較的深い谷とで構成されている。谷の分布は短いが周囲の谷と比較して極めて直線的である。同様にA地点も明瞭な鞍部と、鞍部から北北東に向いた谷が存在する。さらにBには比較的大きな山体の稜線に形成された鞍部から南南西方向に刻まれた谷がほぼ直線状に分布し、最下流部で北西からきた大きな谷と合流している。このような鞍部と直線状の谷とがペアとなった繰り返し分布は、図面左下から右上(すなわち南南西から北北東方向)にかけてほぼ直線状にならんでおり、比較的明瞭なリニアメントとなっている。