3−1−1 判読に使用した空中写真

己斐断層分布域は宅地化が進み、最近の空中写真では原地形をほとんど読み取ることができない地域が多い。したがって、判読精度をあげるためにはなるべく古い撮影年代で、かつ大縮尺の空中写真を用いることが望まれる。これらの点から今回の判読には、入手可能な各種空中写真のうち、主として以下のものを使用した。

・昭和14(1939)年撮影、縮尺1/1万、陸軍参謀本部(国土地理院所有)

戦前の広島市内を撮影。ほとんど宅地化が進んでいない段階での大縮尺写真で原地形を読み取ることができる。ただし撮影範囲が旧市内(現在の西区はこれに入る)に限られており、己斐断層北半を占める安佐南区側は撮影されていない。  

・昭和22(1947)年撮影、縮尺1/1.25万、米軍(国土地理院所有)

戦後2年後の広島市内を撮影。上記写真と同様撮影範囲は旧市内のみ。上記写真に比べて山地部の植生が少なく地肌が露出した範囲が広くなっている。     

・昭和41(1966)年撮影、縮尺1/2万、国土地理院

主として安佐南区側の判読に使用。己斐断層北端付近で一部宅地造成が始まり原地形を留めていない部分があるが、大規模な地形改変は行われていない。やや小縮尺であるが鮮明な画質で判読には支障がない。