富川層の上位には,下位より礫層,砂質シルト層,ローム質砂層,シルト層,黒色土壌等が分布する.
礫層中には,砂層や細礫層等の細粒堆積物が挟在しており,細粒堆積物の連続性や礫層の層相から,礫層を下位より礫層V,礫層U,礫層Tに区分した.礫層U及び礫層Vは,主に円磨された大礫よりなる.礫層U中には砂層や細礫層の挟みが多く,斜交層理が発達している.礫層Tは比較的淘汰の良い大礫〜中礫層からなり,インブリケーションが発達している.礫層Vの上部に挟在する材化石の14C年代は,約13,670±110y.B.P. の値を示す(表4−4−1).
南側及び西側法面では,礫層を覆って砂質シルト層が分布し,その中部には濁川テフラ(約12ka)が挟在する.同テフラの上位では,砂質シルト層中に濁川テフラ起源の鉱物・軽石が多く含まれる.また,北側法面では,礫層を覆って砂質ローム層が分布し,その最下部に濁川テフラが認められる.
砂質シルト層及び砂質ローム層を覆って,トレンチの東側に黒色土壌が東側ほど厚く分布し,この黒色土壌の最下部の14C年代は,約 7,900y.B.P.〜約 7,800y.B.P.の値を示す.黒色土壌の下部には橙褐色火山灰層が挟在しており,その直上部の14C年代は,約 6,510±60y.B.P.の値を示す.また,黒色土壌の中部には,淡黄色細粒火山灰(Ko−g)が,最上部にはB−Tmテフラ,Ko−dテフラが挟在する.