4−3−4 トレンチ内の断層
本トレンチには2条の西上がりの逆断層が認められ,東方の断層をFA,西方の断層をFBとする(図4−3−4−1,図4−3−4−2,図4−3−5−1,図4−3−5−2,図4−3−5−3).FA断層は礫層とローム層とを境する箇所では断層面が観察でき,断層面は走向N54E/31N傾斜を示す.本断層はKo−hテフラ(約17ka)に変位を与え,濁川テフラ(約12ka)にも変形が認められることから,濁川テフラ(約12ka)降下以降に活動したと考えられる.それ以前の断層活動については,濁川テフラ(約12ka)とKo−hテフラ(約17ka)の間にFA断層による鉛直変位量の差はなく,その値は鉛直約30cmであるが,段丘礫層の上面は鉛直で約70cmの変位を受けている.このことから,FA断層はKo−hテフラ(約17ka)と礫層に挟まれたシルト質ローム層堆積中にも活動したと考えられ,シルト質ローム層に挟在するローム質砂層UはFA断層下盤側で層厚を増していることから(図4−3−4−1,図4−3−4−2),その活動時期は砂層・堆積中の可能性がある.FB断層については,南側法面のみで確認され(図4−3−5−1,図4−3−8−1,図4−3−8−2),礫層上面に鉛直約30cmであり,その上部のローム層中にも連続しているが,Ko−hテフラ(約17ka)以上には変位は認められない.このことから,FB断層の活動時期は段丘堆積物堆積以降,Ko−hテフラ(約17ka)降下前と考えられる.