礫層は,細礫層や砂層を挟在し,これら細粒堆積物の連続性や礫層の層相をもとに,礫層を下位より礫層V,礫層U,礫層Tに区分した.礫層Vは中礫〜巨礫よりなり,最上部には細粒堆積物が分布する.礫層Uは中礫〜大礫よりなり,最上部には砂質シルト層が分布するところもある.礫層Vや礫層Uの基質はややシルト質であるが,礫層Tの基質は砂質で,中礫〜大礫よりなる.礫層の中において,図4−3−4−1,図4−3−4−2,図4−3−5−1,図4−3−5−2,図4−3−5−3,図4−3−6−1,図4−3−6−2に示す位置で炭質物を8試料採取して14C年代測定を行ったが,いずれも炭素量が少なく,年代値を得ることができなかった(表4−3−1).なお,本地点付近における段丘堆積物の層厚は3〜4m程度であることを考慮すると,最下位の礫層Vはプレ段丘堆積物である可能性もある.
ローム層は下位より,シルト質ローム層,ピンクシルト層,砂質ローム層よりなる.シルト質ローム層にはローム質砂層が挟在しており,砂層を境として上位より砂層T,砂層U,砂層Vに区分した.なお,ローム層及び礫層上部には地層の乱れが認められ,ローム質砂層等が波状にうねる場所があり,凍結融解によるインボリューションと考えられる.
また,火山灰分析の結果,ローム層の上部にはKo−hテフラ(約17ka)が,最上部には濁川テフラ(約12ka)が,黒色土壌中にはB−Tmテフラ(約 0.8〜0.9ka)が挟在することが確認された.
礫層の年代を特定できる試料がないため,W.6で述べるように,ローム層堆積速度一定と仮定し、礫層の年代を算出した結果,43kaの値を得た.