4−3−1 調査地点の概要とトレンチの目的
本地点は渡島大野活断層調査班がトレンチ調査を実施したSite3と同位置にあたる(図4−3−1).Site3の調査では段丘堆積物中に西上がりの逆断層が認められており,田近(1996)は確実なイベントとして,過去2回の断層活動が確認できるとしている.そのうち,新しい活動は濁川テフラ(約12ka)降下以降であり,その前の活動はKo−hテフラ(約17ka)降下以前で,段丘堆積物堆積以降とされている.段丘堆積物の年代については,雁沢・紀藤(1996)はSite3の上流地点における14C年代測定結果から約23kaとしている.本地点における段丘堆積物堆積以降における活動を上記の2回とした場合,貞方・小石(1996)が地形測量により,この段丘面の変位量を約9mとしていることから,単位変位量は約 4.5mとなる.しかし,本地点付近には,より低位の段丘面上に比高1m〜3m程度の低断層崖あるいは撓曲崖が認められることから,上記単位変位量と矛盾を生じる.
このことから,本地点における断層の活動履歴,活動間隔,平均変位速度等を明らかにすることを目的に,渡島大野活断層調査班がトレンチ調査を実施したSite3と同地点においてトレンチ調査を実施した.