(2) IP法電気探査

測定結果

@A測線

 A測線における測定結果を図4−2−2に示す。見掛比抵抗は50Ωm〜 500Ωmの間の値を示している。全体的に浅部で 200Ωm以下と比較的低比抵抗、深部で高比抵抗を示す。測線西側からの距離が10〜20m、40〜50m、80〜 100mの付近に地表から深部にのびる低比抵抗の異常部がある。

 充電率は測線の西半部および東端部で緩やかに変化するのに対し、測線西端からの距離が80〜 120mの範囲で変化が著しい。充電率は見掛比抵抗が局所的に低くなるところで高い充電率を示す傾向があり、特に測線西端からの距離が40〜50m、80〜 100mおよび110 〜 120mの付近で比較的高い充電率を示す異常部がある。

 なお、前述の比抵抗および充電率の異常部が西に傾く傾向を示しているが、これはポール・ダイポール電極配置の特性および断面図表示の仕方に起因するもので、地下の物性値の異常体の分布傾向を直接示すものではない。ポール・ダイポール電極配置では電位電極による感度が流電電極による感度より大きいため、同じ電位電極を用いた測定結果の連続性が強い。これらの測定値を本断面では流電電極と電位電極のほぼ中間点に割り当てて表示しているので、流電電極が電位電極の常に西側にある本断面では、異常部が西に傾く傾向を示すように表示される。

AB測線

 B測線における測定結果を図4−2−5に示す。見掛比抵抗は50Ωm〜 250Ωmの間の値 を示しており、比抵抗の変化に乏しい。測線西部の浅部および測線東部で比較的比抵抗が低い。測線西端からの距離が20〜30m、40〜50m、100 〜 120mおよび 120〜140mの付近に地表から深部にのびる低比抵抗の異常部がある。

充電率は測線の西半部で緩やかに変化するのに対し、測線西端からの距離が 100〜140 mの範囲で変化が著しい。充電率はA測線と同様に見掛比抵抗が局所的に低くなるところで高い充電率を示す傾向があり、特に測線西端からの距離が100 〜 120mおよび120 〜 140mの付近に比較的高い充電率を示す異常部がある。

 なお、本断面における比抵抗および充電率の異常部は東に傾く傾向を示しているが、これは前述のようにポール・ダイポール電極配置の特性および断面図表示の仕方に起因するもので、地下の物性値の異常体の分布傾向を直接示すものではない。流電電極が電位電極の常に東側にある本断面では、異常部が東に傾く傾向を示すように表示される。

・解析結果

@A測線

 A測線における2次元逆解析結果を図5−2−1に示す。解析比抵抗は測線の大部分で50〜1,000 Ωmの間の値を示す。地表から 1.5m程度までは 100Ωm以下の低比抵抗を示しその下位には厚さ6 〜10mの 100〜 1,000Ωmの高比抵抗を示す部分がある。さらにその下位では100 〜 200Ωm程度のやや高い比抵抗を示す。

 解析充電率の分布は、前述の解析比抵抗分布と同様な分布を示しており、特に測線西半部では解析比抵抗が100 〜 1,000Ωmの高比抵抗を示す部分で解析充電率も高い値を示している。

 本測線では、全体的に水平方向の比抵抗および充電率の変化に乏しく、層状の構造を呈しているが、測線西端から距離60〜70mの付近、 100mの付近および測線東端部で水平方向の比抵抗および充電率の不連続的な分布が認められる。これらの箇所では解析比抵抗と解析充電率の分布が異なったパターンを示す。

 図5−2−1の解析結果から得られた見掛比抵抗および見掛充電率の理論計算値を図4−2−3に示す。図4−2−2の見掛比抵抗断面図および見掛充電率断面図 (実測値) と比較すると、図5−2−1に示した解析結果によって計算された見掛比抵抗の理論計算値の分布は、実測値の分布に非常に良く合っている。見掛充電率の理論計算値は、全体的には実測値の分布と似ている。但し、コントラストの比較的小さい測線西部でフィッティングがやや悪く、見掛充電率の実測値の測線西部における中深度の分布を再現しきれていない。

AB測線

 B測線における2次元逆解析結果を図5−2−2に示す。解析比抵抗は50〜 1,000 Ωmの間の値を示す。地下浅部はA測線と同様に 100Ωm以下の低比抵抗を示す。A測線ではこの低比抵抗部の厚さが測線を通してほぼ一定しているのに対して、本測線ではその厚さに階段状の変化がある。厚さが局所的に深くなるのは、測線西端からの距離が10〜20mの箇所、90〜 100mの付近、および測線東端である。上述の低比抵抗部の下位には100Ωm以上の高比抵抗を示す部分がある。測線西端からの距離40付近から西方に向かって高比抵抗部の深度が浅くなる。

 解析充電率は、測線西端からの距離が90〜 100mの付近を境に異なった分布を示す。西側では比較的充電率のコントラストが小さく、地表付近の方が深部よりも充電率が低い。一方東側では、地表から深さ 2.5m程度までの充電率が非常に高く、それより下位の充電率は極めて小さい。

 図5−2−2の解析結果から得られた見掛比抵抗および見掛充電率の理論計算値を図4−2−6に示す。図4−2−5の見掛比抵抗断面図および見掛充電率断面図 (実測値) と比較すると、図5−2−2に示した解析結果によって計算された見掛比抵抗および見掛充電率の理論計算値の分布は、実測値の分布に非常に良く合っている。