2−2−3 測定および補正

重力測定はLaCoste & Lomberg社製G527スプリング型重力計を使用し,1996年7月および9月に8日間行った.測定にあたり,断層にほぼ直交する測線(6測線)では測点間隔が約100〜200m程度の密な測定を,そのほかは調査域全体である函館平野の大まかな重力異常分布を把握できる程度(数百m〜数km間隔)に測定した.測定点数は合計246点である.測点分布を図2−1に,重力測定値一覧を表2−1に示す.本調査では調査期間中の宿舎の玄関を仮の基準点とし,毎日の測定の出発点とし最後にまた測定した.仮基準点の重力値は後に函館海洋気象台の地震計室にある一等重力点(980400.55mGal)と結合して決定した.各測定値には,地球潮汐補正(中井,1979),器高補正,ドリフト補正(時間に対して線形と仮定)をして重力値を決定した.

 各測点の標高は,水準点・三角点・土木工事用水準点など高さの判明している点ではそれらを用いた.また,9月の測定では光波測量をあわせて行った.それ以外では,2500分の1函館圏都市計画図,5000分の1国土基本図および25000分の1地形図に示されている標高点を用いた.これらの標高の違いは大きくても2〜3m程度であるので,ブーゲ異常の相対的な精度は1mGal以内である.

 各測点におけるブーゲ異常は,フリーエア補正,ブーゲ補正(萩原,1975),地形補正(山本,1984)をし,正規重力式の近似式による正規重力を計算して求めた.ブーゲ補正および地形補正に用いるための平均密度を,g−h関係で調べると図2−2に示すように1本の近似直線が引けない.仮に引けそうなところを選んで引いても(図中の2本の直線)得られる密度は非常に大きい.そこで,ここでは一般的な地殻の平均密度である2.67g/cm3を採用し,各測点から半径40kmの範囲内でそれぞれ補正した.