(3)まとめ

神川断層矢場地区では、A地区で高密度ボーリング調査による探査を行い、B地区ではトレンチ調査と併せて補足ボーリングを行った。

矢場A地区では、平成8年度ボーリング調査結果を踏まえ、断層推定部付近において、高密度ボーリング調査を行った。調査の結果、ボーリングコア中からATテフラ層、As−BP軽石層、As−Ok軽石層等の年代指標層が認められた。また、ATテフラ層、As−BP軽石層は、それぞれの深度が北側で浅くなり、再び深くなるといった地層のたわみが認められた(図4−1−1)。

調査地区南側では、上記のような地層のたわみは認められない。

以上より、矢場A地区においては、断層によって変位を受けている可能性の高い部分は、調査地北側の9YA−8孔よりも、北側部分である。

矢場B地区では、トレンチ壁面でBPテフラ層の堆積構造が乱れている様子が認められた(C層)。しかし、その下位の粘土層(A層)はほぼ水平に堆積しており、新第三紀層の基盤に変位は認められない。また、補足ボーリング調査の基盤深度にも、変化は認められない。したがって、矢場B地区では、直接断層は捉えてないものと推定される。