歴史上、群馬県を震源地とし、多大な被害をもたらした地震は文献等に残っていない。近代に発生した群馬県外を震源地とした大地震を見ても、大正12年の関東大震災が震度4,けが人9,全壊家屋49,半壊8、昭和6年の西埼玉地震では震度6,死者5,けが人55,全壊家屋166,半壊1,769を記録したのが、大きな被害をもたらした程度であり、”群馬県は地震に強い”というイメージを持つ群馬県民は少なくない。
しかし、「新編日本の活断層」によれば、群馬県内において、4つの活断層が確認されている。それらは、いずれも活動度がB級ないしC級で、その活動史は解明されておらず、その活動の可能性を探ることは、防災対策の推進上、大きな意義のあるものと考える。そこで、平成8年度・9年度の2カ年にわたり、科学技術庁の活断層調査交付金を受けて、埼玉県北部から群馬県南部にかけて存在する関東平野北西縁断層帯の一部、群馬県藤岡市内の平井断層及び神川断層について調査を行った。
今回調査対象の、平井断層及び神川断層の2つの断層は、両断層とも、その活動形態は、北西〜南東の方向性を持ち、北東側隆起の縦ずれ及び横ずれ成分を持っているとされている。
今回の調査により、各断層の位置、最新活動の時期については知見が得られた。また、活動周期については関東平野北西緑断層帯の全体的研究成果も含め、評価していく必要がある。今後は今回の調査成果を、活断層周辺地域の施設、ライフライン、橋梁などの耐震性強化対策、崖崩れなど危険地域の見直し、および今後の地域防災計画策定の基礎資料として役立てていく所存である。