したがって、多少の出入りはあるかも知れないが、今回推定した直線状線状模様に沿って神川断層あるいはその雁行部が存在する可能性があり、このことは浅層反射法弾性波探査・高精度電気探査・調査ボーリングなどで確認された。
また、上記の畑地下の水田低地は数十mの幅を持っており、後述の本郷2地区付近の庚申山丘陵南縁の直線状断層崖の東延長部が椿社神社北側を東流する小川の急崖付近に達するので、この帯状の低地が神川断層と何らかの関わりをもっている可能性がある。
すなわち、1931年の西埼玉地震(規模M6.9 )時に、地元の中野治夫氏(現在72歳当時6歳)が現波家田公会堂傍らの当時の県道藤岡−鬼石線沿いの北東−南西方向に幅30pの開口亀裂が生じたことを生々しく現地で証言していただき、このことからも上記の推論が裏付けられる。つまり、神川断層が鉛直成分だけでなく水平成分をもったずれを生じた可能性があり、雁行配列をなしている可能性も否定できないことを意味する。