(1)測定原理

電気探査は、地層の電気的性質の相違により、地下構造や地層の性状ならびに空洞の存在などを推定する方法であり、特に人為的に大地に電流を流して地盤の電気比抵抗を測定する手法を比抵抗法と称している。

地盤の比抵抗は、構成する岩石の組成や間隙比、間隙水、水の飽和率等によって左右され、さらに粘土鉱物など導電性物質の含有量によっても変化する。従って地質的には同一の岩石であっても、比抵抗値は表2−4−2あるいは図2−4−1に示すように変化することが知られている。一般に地層中の含水が大きいほど比抵抗は低くなり、飽和した軟質な(間隙比が大きい)地層ほど比抵抗が低くなり、不飽和で硬質な地層ほど比抵抗が高くなる。

表2−4−2 主要な岩石・土・水の比抵抗

図2−4−1 主要な岩石等の比抵抗

従来の比抵抗法は、各々一対の電流電極と電位電極を用いて行われ、電極間隔を変化させて深度方向の見掛け比抵抗の変化を調べる「垂直探査」と、一定の電極間隔で水平方向に測定点を順次移動させ、見掛け比抵抗の水平方向の変化を調べる「水平探査」がある。それに対し、高密度電気探査では、あらかじめ多数の電極を測線上に配置し、機械的に全ての組み合わせの測定を短時間で実施し、測線下の2次元的な比抵抗データを得る方法である。また、見掛け比抵抗の測定方法には2極法、4極法等があり、本調査では、2極法を用いた。

 2極法とは、一対の電流電極(C1,C2)と電位電極(P1,P2)のうち、それぞれ一方の極(C2,P2)を無限遠と考えられる遠方に固定接地し遠電極とし、測線上の電流電極(C1)と電位電極(P1)の2極を一定の間隔aを保って移動接地し大地の比抵抗を測定する方法である。aを変化させると垂直探査、aを一定にしてC1,P1を移動させて測定すると水平探査である。

 2極法における見掛け比抵抗(ρa)は、次式で表される。

           ρa =2πa・V/I

              ここで V:電位差

                  I:電流値

高密度電気探査では短時間に大量のデータが得られる。そのため、比抵抗2次元解析による地下の比抵抗分布の推定が可能で、本調査で用いた高密度電気探査では、FEM(有限要素法)と非線形最小二乗法を組み合わせた2次元解析(インバージョン解析)を行った。

図2−4−2 に2極法の電極配置を、図2−4−3に高密度電気探査の測定概念図を示す。

図2−4−2 2極法電極配置図

図2−4−3 高密度電気探査測定概念図(2極法)