(3)解析手順

データ処理は、IBM−RS6000で、地震探査解析ソフト「iXL(MIT社製)」で行った。

図2−3−7にデータ処理フローチャートを示す。以下にその手順の概要を示す。

@ フォーマット変換

フィールドテープのテープフォーマットであるSEG−D(8048)を解析ソフト用フォーマットであるSEG−Yに変換した。

A測量データのセット

フィールドデータに測量からの座標値(X,Y)、標高値をTrace Headerにセットする。

B 表層静補正

表層の低速度層は反射波の並びに影響を与え、重合の効果を弱める。その補正を屈折初動記録を読み取り、屈折解析法により行った。

C 振幅回復

記録は時間とともに減衰する。それを補正するために振幅回復をAAC(Automatic Amplitude Control)で行った。そのゲート長は100msec.とした。

D デコンボリューション

反射波をインパルスに変換するデコンボリューションフィルタを施した。テスト結果を図2−3−8に示す。

E NMO前静補正

発震点,受振点の標高値とCMPの平均標高を補正するためNMO前補正を行った。

F 速度解析

定速度重合解析により重合速度を求める速度解析を行った。速度解析例を図2−3−9に示し、解析結果である速度断面を図2−3−10(Sk−1測線),図3−3−11(Sk−2測線)に示す。

G NMO補正

発震点〜受振点の間の距離をオフセット距離と呼ぶ。オフセット距離=0mにおける反射波の到達時間をNormal Timeといい、オフセット距離を持つ記録全てこのNormal Timeに補正する操作をNMO補正(Normal Moveout Correction)と呼ぶ。実際にはF速度解析により求まった速度関数を用いてNMO補正を行った。

この処理により共通反射点における反射記録は横に並び、重合(スタック)することで反射記録が強調される。

H 振幅調整

デコンボリューション、NMO補正等によりバラついた振幅を重合前に揃えた。AACゲート長20msec.で行った。

I 共通反射点重合

CMP内に複数あった記録を垂直重合して一本の記録にした。

J バンドパスフィルタ

低周波及び高周波のノイズを除去するために、バンドパスフィルタを施した。図2−3−12に低周波数領域のテスト結果を、図2−3−13に高周波数領域のテスト結果を示す。この結果より、35−90Hzのバンドパスフィルタを用いた。

K マイグレーション

重合断面の見かけ上の反射位置を二次元的な真の位置に移動し、より正確な地下構造を得る処理で差分マイグレーションを行った。

L F−Xフィルタ

重合断面でランダムノイズを軽減し、イベントを強調するフィルタを施した。

M 基準面補正

基準面を標高200mにとり、その標高に断面を揃える基準面補正を行った。

N 深度変換

速度解析により求まった平均な速度関数を用いて、縦軸を時間軸から深度軸に変換した。