4−3−2 恵那山断層

恵那山断層では第四紀層を切る断層露頭は確認されておらず,地形的にも全体に第四紀後期に活動した証拠に乏しい。南西部では土石流堆積面に低断層崖状の直線的な低崖地形や右横ずれ様の地形が断片的に分布しており,第四紀後期に活動した可能性があるといえる。一方,北東部の岩村〜富田地点で土石流堆積面であるF3面とF4面に低断層崖がみられ,北東部の一部では第四紀後期に活動した可能性が高いことが明らかになった。

今後の課題として,第四紀後期に活動した可能性が高い区間で,断層の活動性に関するパラメータ(最新活動時期,平均変位速度,単位変位量,活動間隔など)を得ることと,南西部に分布するやや確度の低い低断層崖様の地形の成因を検討することが挙げられる。

具体的には恵那山断層北東部の岩村町富田地点で,トレンチ調査やボーリング調査および反射法探査を実施して活動性を検討する。恵那山断層南西部では地表踏査(精査)を実施して,土岐市鶴里町〜住久保東方に断片的に分布する低断層崖様の直線的な低崖地形を詳細に観察・記載し,地形面の連続性や周囲の地形面との対比などから変位地形であるか否かを判定する。