平成11年度の調査では中垣外南東地点において下記のことが明らかになっている。
@屏風山断層中垣外南東地点では土石流堆積層が広く分布し,土石流堆積面はF1面,F2面,F3面,F4面,F5面,F6面およびF7面に7区分される。
Aこのうち,F1面,F2面およびF3面には屏風山断層による変位地形が認められ,F4面,F5面とF6面およびF7面には屏風山断層による変位が認められない。
これらの土石流堆積面の構成層のうち,F5面の構成層(以下fdX層とする)から14C年代試料を3試料採取し,測定を実施した。試料採取位置は平成11年度に地表踏査(精査)を実施した屏風山断層中垣外南東地点の林道切土斜面に露出した人工露頭のBNGC1地点(図3−2−3−1)である。BNGC1地点ではfdX層はF5面直下から層厚約3mが露出する。細粒〜中粒砂を主体とし,粗粒砂や腐植質シルトを複数挟在し葉理が認められる。腐植質シルトは層厚5〜20cmの薄層として砂層中に挟まれ,下位からP1〜P6層とした(図3−2−3−2)。14C年代試料はP1(試料名:BNGC1−1)とP3(試料名:BNGC1−2)およびP5(試料名:BNGC1−3)の腐植質シルト層からそれぞれ1試料,計3試料採取した。BNGC1−1は3560±90yBP,BNGC1−2は3480±70yBP,BNGC1−3は2970±120yBPの14C年代値が得られた(表3−2−3−1)。下位の腐植質シルト層ほど古い14C年代値が得られており,14C年代値は層序と調和する。
以上の14C年代測定結果からfdX層の堆積開始は3560±90yBP以前で,堆積終了はおおよそ2970±120yBPである。fdX層の構成面であるF5面に断層変位地形が認められないことから,屏風山断層は中垣外南東地点では約3500年前以降活動していないといえる。
表3−2−3−1 14C年代測定結果一覧表(屏風山断層中垣外南東地点)(*1)