恵那山断層南西部は主に花崗岩からなる山地と、主に瀬戸層群からなる丘陵地の境界に位置する。第四系を構成する低位段丘相当の土石流堆積層が沢に沿って小規模に分布している。本調査によって花崗岩と瀬戸層群を境する断層露頭が多数確認された。ここでは土石流堆積面に低断層崖様の地形や沢の右横ずれ様の地形が断続的に分布する。
恵那山断層北東部は岩村盆地の南縁に沿っている。基盤地質は花崗岩と新第三系中新統瑞浪層群から構成される。これらの地層や岩体を高位段丘堆積層、低位段丘堆積層、土石流堆積層が不整合で覆っている。この断層に沿って花崗岩と瑞浪層群の境界付近にほぼ連続的なリニアメントが判読される。岩村町岩村本町を中心として東方の分岐部分約2kmと岩村本町から西の約4qの計約6q区間では土石流堆積面に明瞭な変位地形が認められた。
平成13年度には、北東部で変位地形が明瞭な岩村町富田地点で、地表踏査(精査)・(古い)空中写真による地形図化・ボーリング・トレンチ調査を実施した。南西部では、第四紀後期に活動したと見られる地形的形跡が断続的に認められる土岐市鶴里〜住久保東方地点において詳細調査を実施した。